なすの馬券術

競馬予想の遍歴

  競馬予想の歴史を見ていくと、現在のように多彩な馬券術が顔を揃えるようになったのは、かの故大川慶二郎氏が提唱した展開予想からのようです。その後、時計やサイン、オッズ理論などが登場し、実に考えられる限りの馬券術が生み出された感があります。そのせいか、最近書店で馬券本を手にしても、基本的なスタイルは変わらない様に思います。

  私が利用している西田式スピード指数は、A.ベイヤーによって考案されたSpeed Indexを西田氏が独自に改良したものです。1990年代初頭に発表されるやたちどころに脚光を浴び、いまでは専門家も必ずチェックするほどです。確たる時計理論が考案されるまでは着差こそすべてとの風潮があり、1着馬から0.4秒差の3着という表現で馬の優劣を決めていました。これは現在でも使われている方法ですが、1つ大きな問題を含んでいます。
   例えば同じ900万クラスとはいえ、あるレースは次走確勝級の力を持った馬が多数出走し、あるレースは500万をやっと勝った馬や、なかなか900万を卒業できずにいる馬ばかりが集まったレースだとします。同じ0.4秒差3着でもどちらが価値が高いかは一目瞭然ですね。当然前者のレースです。 この様なレベルの高低は走破タイムで簡単に見極めることができます。レースのレベルの高低は着差だけでは見極められない要素なのです。

  スピード指数が衝撃的なデビューを飾り、指数系理論が注目されると今度は指数を絶対視する傾向が生まれてきました。かくゆう私自身も勘に頼った競馬予想から確たる能力判断基準を得て、オケラ街道からの脱出を果たせたのもスピード指数のおかげです。
   馬の能力は走破時計に現れる……スピード指数をはじめとする指数系理論の信奉者は皆そのことを信じて疑わなくなりました。そのうち、数字のみを追いかける風潮が出てきて、競馬をしているのか数字遊びをしているのかが分からないおかしなサイクルができてしまったのも事実です。スピード指数が単に走破タイムのみを表しているのも忘れて。
  指数系の理論を嫌う人の多くは、この風潮に反発してのものが多いように思われます。しかし、指数上位馬どうしでの組み合わせで万馬券が出るなど、未だ指数理論がそのまま通用するレースも数多く存在し、まだまだ十分に通用するのも事実です。そのため、指数上位馬に新聞の印が集まることもあり、回収率には陰りが見えてきました。

  スピード指数に陰りが見え始めると、今度は別のアプローチが見られてきました。例えば、馬の通過順位に注目したもの。ただしこれは穴馬を見つけるための理論で、能力判断には使えません。あるいは、馬の適性に着目した理論。さほど浸透はしていませんが、ダビスタ四天王の亀谷氏が提唱した「血統ビーム」などはこの最右翼です。「血統ビーム」は馬の父親をいくつかの系統に分け、スピード型なのかスタミナ型(瞬発力型なのか持続力型)なのか、適距離は長いほうが向くのかなどに分類します。そして、レースが行われる競馬場のコース形状などに一番適した特徴を持つ馬をピックアップすると言うものです。この理論には学ぶべき点も多く、定期的にデータが更新されていけば、指数系と双璧をなす理論になるでしょう。亀谷氏と同様の理論に「競馬なんでもトーク」でも紹介されている「ラップ論L3」があります。

  でも、今取り上げた2つの理論は主にコンピュータを使っている世代が主流であり、それ以前の古くからのファンはもっと別のアプローチをしています。例えば馬の格に着目したもの。これは能力を測りたい馬の過去のレースを見て、いっしょに走ったことのある重賞を勝っている馬との着差で見る方法です。例えば、スペシャルウィークの0.4秒差3着に来たことがあるので、ここでは実力上位。ただしこの方法は、競争成績中に比較になる馬が見つからなかった場合(自分の知らない馬)、まったく使えないという欠点があります。
   その他にも、「トラックバイアス」という馬券術があり、これは前走直線で不利を受けたが、外を回して追い込んでの0.3秒差3着。不利があったのにも3着に入ったのだから、実力があるとみなすと言った方法です(大外を回す不利を次走付加=バイアスすることで、正しい能力判定を行う)。ただし、「トラックバイアス」は出走馬のレース振りをみていなければならないので、あまり普遍的な方法論ではありません(有効な手段ではありますが)。

  ほんの一例を触れてきただけですが、馬券術には実に様々なアプローチ方法が存在します(ただし、オッズ系理論やサイン、出目系の理論には触れておりません)。どの理論もアプローチ方法は違えど、馬の特性を測る1つの方法ですね。 指数系の理論は走破タイムから「競争馬の能力」を推し量ります。適性系の理論(「血統ビーム」など)はそのレースに合った馬を探し出します。どちらも優れた点と、苦手とする点を持ち単純な優劣をつけられません。
   ただ利用する人が必ず肝に銘じておかなければならない事は、どちらの理論を使うにせよ、馬の1面的な性質しか捉えていないということです(「血統ビーム」の亀谷氏はそのことを自身の著書でも言及していた)。

  この様に改めて、一歩引いた位置から双方を見てみるとどちらも実に重要なファクタを欠いていることに気づくはずです。本来なら、「能力」を無視して「適性」を論じたり、その逆に「適性」を無視して「能力」のみを論じるのはナンセンスな行為なのです。
   いろいろ反論もありましょうが、数年間運用してきた結果、「競争馬の能力を測る」にはスピード指数などの指数系理論を利用するのが得策です。また、適性は「血統ビーム」などの考え方を取り入れるのも得策です。

  私が実践している「なすの馬券術」はこれらの重要な2つの要素を融合し、さらに「レース・アドバンテージ」と呼ばれる独自の展開理論を加味したものです。

■注意 Warning!!

  • ナスの馬券術に書かれている馬券術を利用し、馬券をはずし経済的、精神的損害を被っても当方には一切責任はありません。馬券は個人の責任において、購入してください。
  • ナスの馬券術は復習(失笑馬券劇場)と合わせるとより効果的です。
  • この馬券術はまだまだ開発中のため、予告なくここの内容を書きかえることがあります

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