一太郎2005を襲った特許の驚異

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 すでにニュースサイトなどでご存じかと思うが、JustSystem製のワープロソフト「一太郎2005」と、図形描画ソフト「花子2005」が事業提携をしている松下電器から特許侵害の訴訟を受けた。同審判は2005年2月1日に判決が下され、松下勝訴となったが、2/10の同ソフトの発売には影響がないとのこと。
 この事件はいわゆる「ソフトウェア特許」に関するものであり、こういう訴訟が与える影響は大きい。

 吉田は特許の専門家ではないが、会社では特許担当(笑)なるものを兼務しているので、多少は特許になじみがある。特許は優れた発明を世に出し、社会貢献を目的として制定されたものである。この時、何の保護もされていないと、あとから発明を見たものがまねをし、発明者の権利が踏みにじられ、結果として優れた発明であっても世の中に出ない可能性がある。これを防止するために発明者に与えられた権利が特許権である。
 ソフトウェアの分野では、以下のものが特許として認められる(出典元)。

  • ソフトウェアによる情報処理に自然法則が利用されている
  • ハードウェア資源が単なる使用でない形で利用されている

 ソフトウェア特許は、回路や機器に関する特許と異なり、境界線が曖昧な点がある。今回の特許侵害の対象も、「ヘルプアイコン」に関するものである。詳しくはCNETなどのニュースサイト記事をご覧いただきたい。

 特許になじみのない方にとって、「特許と言うにはきっとすごいものばかりなのだろう」と思うが、蓋を開けてみると「なーんだ、そんなことか」という発明も数多くある。実際に特許庁の電子図書館には平成5年度からの特許がオンラインで検索できるようになっているが、「え? こんなものを出願してるの?」という発明がいっぱいある。
 こんなアイディアなら「誰でも考えつくでしょ」と思ったときに起こせるのが、「特許無効請求」である。最近あった無効請求の中でユニークなものとしては、冷凍食品会社のニチレイなどが起こした「冷凍枝豆の塩味の付け方に関する特許」である。

 年々特許を含む知的所有権についての理解が広まり、どの企業も力を入れている。JustSystemが特許を専門に扱う「知財部」を持っているかどうかは知らないが、今の時代「知りませんでした」ではすまされない。そして、これはオンラインソフトにも言えることで、ある程度シェアを広げるとLinuxのように特許侵害で訴えられることになる。難しい問題であるが、今後は個人がソフトを作成する場合、ありきたりのものでないものは特許の確認をする必要があるかも知れない。特にGUIのように、誰でも最終的に思いつくようなアイディアが特許で保護されていることもあり、難しい問題である。
 

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