予想のジレンマ

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 競馬予想はスタンスこそ違え、頭の中で与えられた情報を処理し、各馬に序列を与える作業である。取捨選択の方法は、有力馬を抽出する方法、消去法など人によってさまざまであるが、ひとつ断言できるのは、その人が経験や学習の中で培った情報フィルタを駆使し、勝ち馬をあぶり出していると言うことである。

 競馬予想には、スピード指数などの能力指数を利用するもの、馬の脚質構成やコース形態などを考慮に入れた展開を利用するもの、オッズを利用するもの、サイン、出目などさまざまである。幸い、吉田は競馬サークルに所属しているおかげで、オッズ派、サイン派などさまざまな予想法を駆使する人と話し合う機会をもてた。

 この経験の中で不思議に思うのは、より多くの情報を取り入れれば、より勝てるようになるかと言えばそうではない点である。もちろん、関係者からのインサイダー情報などがあればよいのだが、このような情報に接触する機会のある人間は限られている。大手の予想会社がそれを握っているかと言えば、そうでもない。オッズを眺めていると、異常投票がみつかったが、結局それはかすりもせず、あとで大手の予想会社の推奨馬であることもあった。
 万馬券をよく当てるスポーツ新聞の記者が異常オッズを作り出すケースもある。

 逆に少なすぎる情報では、全くの当てずっぽうになるが、適度な量に調節された情報で行えば成績が向上することも少なくない。しかし、外れたレースを検証してみると、普段は重視していないデータが該当していると言うことも少なくない。
 スピード指数ではまったくとれない馬券が、オッズやサインでいとも簡単にとれるところを見ると、自分の予想に使っている情報が足りないのではないか? という思考に陥ることもある。情報を増やした方がよいのか、減らした方が良いのか、ここに予想のジレンマがある。

 吉田が思うに、多すぎる情報は害にしかならない。正確に言えば、処理しきれない、あるいは処理方法の決まっていない情報はノイズに過ぎないと言い換えることができる。オーディオの世界では有用な情報と、ノイズの関係をS/N比として表すが、競馬予想の世界にも存在すると思われる。
 ここでキーワードとなるのが、情報の利用方法をあらかじめ決めておくことだろう。競馬の場合、JRAが設定した時間になれば、レースは発走してしまう。また、1日に複数のレースに手を出す場合、予想に使える時間のインターバルはさらに少なくなる。

 多くの場合、予想だと思って行っている作業は、単にデータの活用方法を吟味しているだけのような気がしてならない。例えば、スピード指数の数値の高い馬、低い馬の意味をその場で検討するのは正しいことなのだろうか? オッズで言えば、馬連、ワイド、馬単の得票率の差が意味するものをその場で吟味すべきなのだろうか? この手の作業は、競馬開催日でなくとも過去データを利用していくらでも平日に検証できる。
 吉田が考える理想的な予想とは、データの使い方自体は日々の研究結果に従い、当日はその情報を元になかば自動的にフィルタを適用。そこであがった馬をもとに、展開や当日の状態、騎手の巧拙などを考慮して予想を組み立てる。
 こんな方法を模索している。

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コメント

コンピ指数派の馬券愛好者です。
理想的な予想について、まったく同感です。
私は、情報量とは、種類の多さではなく、情報の蓄積量であると考えています。
種類は逆に少ないほうがいいと思います。
できるだけデータを蓄積し、回収率の期待値が100%を超えるような条件を見出すこと、その条件を検証することに時間を使っています。
買い目を決定する作業は自動化し、ほとんど時間をかけないようにしています。
まだデータの蓄積量が不足しており、今はデータを蓄積しつつ、分析手法を学ぶことに力を入れております。

投稿者 らいじんぐ : 2005年05月14日 13:27

いろいろなロジックに触れていると、どれも一長一短あることに気づきます。しかも、得意なレースと苦手なレースがあることにも気づきます。
そのロジックの弱点となっているレースであえて勝負せず、データの蓄積から導かれた勝率・回収率の高いレースを選別して勝負した方がいいと考えています。ただ、コンピ指数も数値なので、効率よく処理するための道具が必要かと思います。

投稿者 吉田章太郎 : 2005年05月14日 21:19

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