リスクとリターン

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 競馬の最終的な目的は、「勝つこと」である。そして勝つためには、「当てなければならない」。的中させるだけなら実は簡単で、全通りの馬券を買えば済むことである。しかし、そんなことをすればまず間違いなく投票金額の方が払戻金額を上回る。この状態を「トリガミ」と呼んでいる。
 競馬をしている人ならもちろん知っているだろうし、なんどか実際に経験しているだろう。穴党は本命サイドをねらう人に比べると、購入点数が多くなる傾向にある。すると、購入点数が多い方が、「トリガミ」になる可能性が高くなる。配当の低い馬券を除外するという手段でもいいが、必然的に人気サイドを除外することになり、的中の可能性を低くするリスクを負う。

 最も良いのは、少ない投資(ローリスク)で大きな払い戻し(リターン)を受けることであるが、世の中なかなかそんなにうまい話はない。一般的にはリスクが高いほどリターンも大きくなる。「ハイリスク−ハイリターン」だ。
 世の中で最もリスクの低い投資は銀行預金(国内)だろう。しかし、リスクがほとんどない代わりに、リターンは0に等しい。銀行に100万預けても、利子が3円つけばいいご時世である。

 競馬の場合、ハイリスク−ハイリターンといえる。競馬は的中しなければ、元本をすべて失うゼロサムゲームであることに加え、JRAの控除率が25%と高い。
 よくあるたとえ話で、100円の馬券を買った瞬間に、75円まで目減りするというものがある。株式投資のオンライントレーディングは手数料が1%以下に設定されているところが多く、平均して0.3%程度の設定になっている。手数料に加えて株式売却時のキャピタルゲインに税金がかかるため、10%前後のコストがかかっている(株式の売買に伴う税率は見直しが行われているので、最終的には20%前後になるようだ)。
 これに比べても25%の控除率は、大きな足かせであることは確か。競馬の場合、ある意味で天引き方式なので、控除率の存在を意識することはあまりないが、配当がそのぶん減るということは、トリガミになるリスクが高くなると言うことである。トリガミになるリスクを減らすために、購入点数を減らすと的中率が下がるため、結果的にリスクは増える。

 競馬は結局、リスクとリターンのバランスを見極めなければ勝てないと言うことだ。単勝1〜2点できっちり回収する人、三連複20点前後できっちり回収する人、スタイルは人それぞれであるが、どちらもうまくバランスをとって勝ち組に回っているのだと思っている。

 馬単、三連複、三連単の導入により、馬券の選択肢は広がった。しかし、その分リスクとリターンのバランスをとることは難しくなっている。馬単の方が馬連よりも優れているとは言えないし、三連複とくらべて三連単が良いとも言い切れない。三連複1点で済む馬券は、三連単では6点必要である。1点100円でも、600円のリスクを冒すため、配当も三連複よりも6倍儲からないと損をすることになる。
 馬単発売以前は、馬連と枠連の間に「券種間のバランスの歪み」があった。しかし、馬券の種類が増えることで歪みは広がっている(三連複と三連単の歪みが最も大きいようだ)。歪みはリスクとリターンのバランスを崩すため、より難しくなる。

 「どの馬券で買うのが最適か?」

 難しい問題である。

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