モチベーション=動機付けについて考える

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 創作活動に限らず、物事を実施するには明確な「動機付け」=「モチベーション」が必要です。 例えば、日々やっている仕事は何のためにやっているのかと言えば、多くの場合は「生活のため」、「遊ぶ金が欲しい」など金銭的、経済的なことがモチベーションとなっています。

 しかし、経済的なことだけをモチベーションにしてしまうと、動機付けが希薄になりがちです。また、ある程度の収入を確保すると、経済的な理由はモチベーションとしては非常に希薄になります。逆に経済的に逼迫した状況下では、強力なモチベーションになりますが、強迫観念にとらわれ精神的にかなり疲労します。この状態が長く続くと、身体や精神に異常をきたします。

 さて、視点を変えてみましょう。最近、任天堂のゲーム機Wiiで「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」をプレイしていますが、RPGこそモチベーションの根幹的問題を考える材料になり得ると思います。

 多くのRPGは、自分以外の第3者をあやつり、ゲームの世界で戦闘をしたり、買い物をしたり、ミッションをこなします。RPGという分野のゲームは、誰かになりきること=「ロールプレイング(役割を演じる)」を主眼においています。
 従って、多くのRPGはレースゲームやパズルゲームのように、ちょっと気分転換で遊ぶには多すぎるボリュームとなっています。 最期までプレイするとだいたい50時間ぐらいかかるゲームが大半です。また、ゲームの間隔が空いてしまうと、 それまでのシナリオの流れなどを忘れてしまい、プレイそのものに支障が生じます。

 ゲームをする最大の目的は「暇つぶし」、「気分転換」です。ゲームをすることによってお金を得るには、 オンラインゲームでRTM(ゲーム内のレアアイテムをオークションなどで売買する)など倫理的に問題のあることをやらなければなりません。
 囲碁や将棋、はたまた野球やサッカーのようなプロリーグはまだ存在しません(アメリカや韓国では、 プロリーグのようなものが実際に作られているようです)。

 RPGは比較的長い時間をまとめて取る必要があるため、プレイヤーに「なぜそのゲームで遊ぶのか」という動機付けが必要です。 大半の答えは「おもしろいから」となりますが、自分以外の第3者になりきるには、明確な動機付けが必要となります。

 映画やドラマの場合は、速いテンポで次々と気になる事件を起こすことで、観客を引きつけることができますが、 ゲームの場合はシナリオ進行の鍵はプレイヤーが握っています。自キャラを操作できるため、制作者が用意した地点まで行かないと プレイヤーを引き込むためのイベントは発生しません。イベントやムービーに頼りすぎると、プレイヤーが興ざめしますし、ストーリーで引き込むことにかけてはマンガや映画のほうが一日の長があります。
 また、多くのRPGはプレイヤーとはまったく異なる世界観で展開されるため、ゲームの序盤はその説明に費やされることが多くなります。 自分の家からスタートするゲームは特にその気が強くなります。

 「主人公の幼なじみの女の子がさらわれて」 というシチュエーションも和製RPGにはよくありますが、ゲームがはじまって間もない状態で「このキャラは幼なじみだから、頼みを聞け」 とか「助け出せ」と言われても「知るか!」と思ってしまいます。つまり、ゲーム内のキャラクター設定は、 プレイヤーのモチベーションにはなり得ないのです(ゼルダ トワイライトでは、サルを助けるというイベントがありますが、 少なくともサルは吉田のモチベーションにはなりませんでした。サルは幼なじみではないですが……笑)。
 余談ですが吉田の場合、学生時代にコマンド選択型の典型的RPGを沢山やったせいか、 最近のRPGはまったく手を出していません(FFは7を途中までやってエアリスが死んだ時点で放り投げました)。

 ゲームのように現実世界とは乖離した世界では、プレイヤー自身に働きかけるなんらかの動機付けが必要になります。 例えばゼルダの伝説シリーズは物語性よりもダンジョンでの謎解き、ギミックに主眼が置かれています。広大なマップを用意するのではなく、 限られたマップの中に仕掛けをたくさん用意します。プレイヤーはパズルをやっているような感覚で、ゲームの謎を解くことにより、 ある種の快感を得ています(ゼルダの場合、キャラクターではなくプレイヤー自身も成長するため、 感情的なモチベーションが発生しやすくなります)。

 レースゲーム、FPS、アクションゲームなどストーリーに頼らないゲームは、 プレイヤーの感覚を刺激することでモチベーションを引き起こしています。爽快感や達成感、高揚感など。

 ゲームサイトではないのでゲーム評論的なことはしません。しかし、ゲームを通すと、モチベーションの本質的な部分が見えてきます。 ゲームをしても現実世界では、「経済的」なメリットや社会的名声が高まるなどの「社会的」なメリットは高まりません。
 それ故、現実世界ではどうしてもすぐに効果が現れる部分(経済的、社会的)にモチベーションを感じ取ってしまいますが、 例え金銭的なメリットがなくても、それが自分自身のためになると感じたり、誰かに感謝されること、 ほめられることなど精神的なメリットがモチベーションとなり得ます。

 質の高いモチベーションは、感情的な要素が不可欠だと吉田は考えています。

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コメント

>「主人公の幼なじみの女の子がさらわれて」 というシチュエーションも和製RPGにはよくありますが、ゲームがはじまって間もない状態で「このキャラは幼なじみだから、頼みを聞け」とか「助け出せ」と言われても「知るか!」と思ってしまいます。

ヒロインを助けだすことが最終目的になっているRPGは昨今ではまずありませんよ。
そんなのはSFC時代までの昔のRPGで終わってます。

というか、ヒロインを助けだすことが最終目的になっているという事は、ヒロインが途中でパーティー離脱して、エンディングまで再加入しないという事であり、そんな事を今のRPGでやれば即クソゲー扱いです。
だって、ヒロイン目的でプレイしてる人も多いからです。

例えば、ギャルゲーやエロゲーでメインヒロインが攻略不可だったら、どうでしょう?
即クソゲー扱いされるはずです。
実際、Piaキャロ3はメインヒロイン攻略不可で叩かれまくりましたから。

投稿者 ボトム : 2012年01月14日 09:36

2006年の記事にコメントされても…。
あと、論旨がずれてますよ。

ちなみに、ヒロインを助けだすことが最終目的に近い最近のゲーム
として、ゼルダの伝説 スカイウォードソードなどがありますよ。

投稿者 吉田章太郎 : 2012年01月14日 14:01

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