必勝法だけで勝てるのか?

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 競馬やFXは、みんなからお金を集めて、勝った人が総取りするというゼロサムゲームです。もちろん、エントリーした段階で、 胴元や証券会社が取り分を持って行ってしまいますが。
 今更ながらにこんな基本的なことを確認するのは、勝てる予想法があればそれで良いと考える人があまりに多いからです。

 まず、神様か未来のことが書かれた本でもない限り、連戦連勝、常勝、無敗は不可能です。 競馬の世界では36レース全部当てると神様と呼ばれますが、パーフェクトを達成すること自体に意味はありません。 競馬は多少負けても、最後に利益が出ていれば勝ちなのです。全レース的中しても、 収支がマイナスであればそこで負けなのです。

 ご存じのように、競馬は宝くじと異なり、どの窓口で馬券を買っても、必ず当たり馬券が含まれています。宝くじのように 「5年連続1億円が出ました」と歌う宝くじ売り場に並ばなくても、目の前のパソコンや携帯電話からも当たり馬券を購入できます。
 どういうことか? 発売されている馬券を全て買えば的中率は100%です。単勝であれば、全18頭の馬券を買うと言うことです。しかし、 こんな事をすれば的中してもマイナスになります。トリガミという状態です。

 吉田が思うに、必勝法というのは兵器だと思います。戦争するには武器がよいに超したことがありません。 馬券術という武器の性能を測るベンチマークとして、単勝1番人気との比較があります単勝1番人気は、勝率 32.5%、連対率 51.7%、複勝率 64.6%、複勝回収率 83% です(2006年から2008年集計)。単勝1番人気を買い続ければ、2回に1回は連対し、その回収率は83%になるのです。 しかし、回収率が83%ですから、はじめから負けが確定しているようなものです。

 先に述べたように、常勝無敗は不可能なので、勝率も複勝率も100%にはなりません。それどころか、 単勝1番人気のベンチマークを越えるのも困難でしょう(圧倒的に支持された1番人気とかなら越えられますが)。
 つまり、必勝法、馬券術だけにすべてを期待すると言うことは、武器だけで戦争をすると言うことに他なりません。 現在のテクノロジーを超越したような武器を手にすれば、 武器の優位性だけでかなりよい結果が得られるかもしれません(現代の兵器が戦国時代や第2次世界大戦に投入されたり、 SFに出てくるような兵器が現代に現れるなど)。

 競馬やFXの勝利条件が、1円でも多く利益を得ることであれば、武器以外にも目を向ける必要があります。それが戦略です。 実際の戦争でも、兵器の優劣だけで決まることはなく、物量だったり、兵站や戦略といったさまざまな要素が決め手になります
 もちろん、武器そのものを軽視してよいとは言いません。相手が自動小銃で武装しているのに、こちらが竹槍でつっこむのは明らかに無謀です。 竹槍をもった側が、全員宮本武蔵並みに強いとかであれば面白い勝負になると思いますが。

 今、FXについて指導を受けている人からはこんなことを言われました。

相場の世界なんて所詮上がるか下がるか。確率は50%。
もちろん、テクニカル分析により期待値を高めることは出来るが、
無傷でいることは出来ない。

だからエントリーの精度を高めるよりも、どう戦うか戦略を練る
方が大切。

 競馬は当てるのが難しいため(点数を絞りすぎ?)、ついつい勝率、 複勝率をアップさせる馬券術に目がいきがちですが、大事なのは回収率です。いかに収支をアップさせるかを考える必要があります。 馬券術毎の回収率は流動的なので、最初100%を越えていても、次第に下がってくるものだと思ってください。発表当初600% あったと言われる西田式スピード指数の回収率も、今では86%前後です。

 世の中に公表され、使われると回収率はどんどん落ちます。発表しなくても、馬券を買えばオッズ派に検知され、 やはり回収率が落ちてきます(オッズに影響を与えるほど資金を投入した場合)。

 詰まるところ、回収率は自然に下がってしまうので、あとはどうやって利益を出すか作戦を練る必要があります。 最近、研究しているのが、馬券の買い方であったり、資金管理といったシステムの部分です。外れることを前提として、 最後に利益を出す方法を考えるのです。こう書くと追い上げのことを指しているように聞こえますが、追い上げではありません。追い上げは、 自身が追い上げた金額でオッズが下がることを考慮してないので、吉田自身は戦略の中に含めていません。少ない資金で的中できるのであれば、 戦略となりますが。

 いずれにせよ、単に武器の優劣(馬券術など)だけを論じる段階から、 どうやって戦い抜くか戦略を練る段階に来ていると思います。

コメント

こんばんは。

最近、コメントしてませんが、毎日拝見しております。
良い勉強になります。さて、
「上がるか下がるか。確率は50%。」はどうでしょうか。

大きい上げ、小さい上げもあるし、期間の幅もあります。
単純に上下と2つだけとしても50%なのでしょうか。
ちょっと疑問に思いました。

投稿者 karibu : 2009年08月21日 21:08

突き詰めると50%です。先のことは誰にも分かりません。
確かに、ある局面における期待値を上げる方法はあります
が、結局相場は需給バランスの上に成り立っているので、
50%です。株は知りません。あくまでも為替相場です。

そして、期待値の高い方法論を使えば使うほど、損切りが
出来なくなってきます。仮に期待値が80%なら、今回も8割
の確率で勝てるはずだと思いこんでしまうのです。

1番人気の複勝率は64%ありますが、36%は馬券になりません。
これと同じ事です。

投稿者 吉田章太郎 : 2009年08月21日 21:18

しつっこくてすいません。

「突き詰める」というのはどういう意味でしょうか。
調査期間は1年、2年、それとも1ヶ月単位?
当然、期間が短いとぶれます。
相場ってのは1日単位で勝負するのかな。
だとしたら、1時間とか10分も単位になります。
50%の意味が分からないのです。

本当にしつこくてごめんなさい。悪意なんて全くありません。
私は吉田さんの応援団ですから。

投稿者 karibu : 2009年08月22日 00:03

競馬でもそうですが、過去こういう傾向だったから今回もこうだと
断言できる人はいないと思います。オシレータやチャートパターン
に頼って、昨年10月の大相場で大損した人がいますよね?

トレードの勝率を高める努力を続けるのはとても大事なことですが、
それは一要素に過ぎず、資金管理やリスク管理を含めてトータルで
勝つというのがこの記事の主旨です。

特に相場の場合は、競馬と違ってエントリーしてからが勝負です。
競馬の場合、締め切った後は何も出来ませんが、相場の場合は
エントリーした後にさまざまな判断を求められます。
それ故、期待値に頼るのは危険だと言うことです。
それならば、はじめから50%と割り切った方がよいと言うことです。

調査期間が何で出てきたかは不明ですが、吉田のコメントを受けての
発言なら、次のことを考えてください。もし、売り買いどちらかに
常にバイアスが掛かっているなら、円は無限大か0円になってます。
相場の転換点になるポイントはいくつもありますが、必ずしも思惑
通り行く訳じゃないですよね? 神様じゃないんですから。しつこい
ですが、これが記事の主旨ですよ。

投稿者 吉田章太郎 : 2009年08月22日 08:57

karibu さん

はじめまして、横レスすみません。

50% 、私は以下のようにとらえてます。

プラス 50%
+ 20% しっかり勝つ人
+ 30% ちょい勝ちの人

マイナス 50%
- 20% しっかり負ける人
- 30% ちょい負けの人

↓の本、私は、参考になりました。

FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか? 利回り100%の外貨投資戦略 (単行本(ソフトカバー))
松田 哲 (著) \1,554 2008/3/25 初版発行 技術評論社
http://www.amazon.co.jp/FX%E3%81%A7%E7%A8%BC%E3%81%90%E4%BA%BA%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%80%8C1%E5%8B%9D9%E6%95%97%E3%80%8D%E3%81%A7%E3%82%82%E5%8B%9D%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%81%8B-%E5%88%A9%E5%9B%9E%E3%82%8A100%25%E3%81%AE%E5%A4%96%E8%B2%A8%E6%8A%95%E8%B3%87%E6%88%A6%E7%95%A5-%E6%9D%BE%E7%94%B0-%E5%93%B2/dp/4774130362/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=books&qid=1250899766&sr=1-3

---
私は、先々の外貨投資と、今の競馬の為に、外貨投資が参考になると思い、外貨投資をコツコツと勉強しようとしてます。

投稿者 momo : 2009年08月22日 09:36

FXをはじめとして、投資と呼ばれるものは参考になりますよ。
システムの考え方、資金管理、リスク管理など、競馬では
弱点とされている部分を痛感できます。

この記事で言っていることも、理解していただけると思います。

投稿者 吉田章太郎 : 2009年08月23日 08:15

競馬(馬券)に挑戦して、はや34年の馬きちがたどり着いた基本的な考え方を述べます。
 「戦略」と「戦術」が必要である。
  戦略とは、一言でいえば、「欲張らないこと。」なるべく少な
 い元手で、利益を追及することを第一に考えること。
  戦術とは、戦略に沿って、有用なデータ(私の場合は、「競馬
 三昧」と「日刊スポーツ紙の日刊コンピ、同紙の人気指数)をフ ル活用して各馬の能力表を作ること。軸馬をどれにするかが、キ ーポイントで、これは企業秘密ですが、あえて明かせば、先述の 戦略で述べたように、2~3頭に絞りあげた軸馬の候補の中で、 人気指数が最も低い、人気のない馬をあえて軸馬に抜擢するこ  とがミソ。 以上です。 

投稿者 副将軍 : 2009年08月25日 18:13

こんばんは。

2泊している間にたくさんのコメントをつけて頂きありがとうございました。
FXは、このブログでも耳にしますが、勉強する気がないので全然分かりません。ただ、その考え方が役立つなら是非、勉強してみたいです。
最近、競馬というか馬券で壁に突き当たっているので何かヒントが欲しいという感じです。

投稿者 karibu : 2009年08月25日 21:13

再度、皆さんの発言を読んでおります。

私にとって戦略と戦術はなんなのか。

私は買い目の絞り込みと資金分配がそれに相当すると思ってます。
当然、このどちらも大切です。
絞り込みで利益を確定し、資金分配で利益を最大にする、ということかな。

投稿者 karibu : 2009年08月25日 23:55

前回のコメントがかなり大雑把な説明でしたので、補足させていただきます。
まず、「戦略」とは、何か(もちろん副将軍の考え)。
これは、馬券に対する基本的な考え方・方針を指します。できるだけ、少ない元手で大穴の的中を狙わず、払戻額はそこそこでも確実にプラスすることを目指します。
「戦術」とは、「戦略」を実現させるための具体的な方法・やり方
を指します。利用している情報は、貴「競馬三昧」の中の各データ
①スピード指数値(上位4頭のAからDランク付) ②時(◎印Aランク○印Bランク)、③潜(◎印Aランク、○印Bランク)、 ④調(◎印Aランク、○印Bランク)とし、各馬のランク(例えば、AAーB、BーBBなど)を記入し、Aは5点、Bは4点とし、各馬の持ち点を総評欄に記入します。持ち点の多いほうからA
B、Cの評価をします。
⑤日刊スポーツ紙の東・西本紙の◎馬のみに着目し、該当馬にA印をつけます。
⑥馬連コンピ能力指数から、上位3頭にA、B、Cランク付けをします。
こうして、各馬の能力表を作成したら、軸馬◎は日刊スポーツ紙の
人気指数を見て、上位能力ランク2~3頭のうち低人気馬を抜擢します。「人気はそちら、来るのはこちらの(低人気馬)」です。高人気馬は低人気馬より強い、速いという呪縛から抜け出してください。
 

投稿者 副将軍 : 2009年08月26日 15:57

的中率 33%, 回収率 120% の戦術(馬券の勝てる組立て方)を複数もっていて、これらの戦術を駆使してトータルでプラスにもっていけるのが理想的ですね。

投稿者 momo : 2009年08月26日 20:45

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