公営ギャンブルとネット投票

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 2005年9月8日のエントリー 「ソフトバンクが岩手競馬に参入」でも書きましたが、 日本のIT業者はネットによる拡販を唱って公営ギャンブル(とりわけ競馬)の世界に飛び込んできます。 ネットによるアプローチは方向性のひとつとして間違ってはいませんが、それが販売促進になるかはやはり疑問です。

 JRAを例に挙げると、1200万人の競馬人口のうち、IPATをふくむ電話投票を行っているのは1/4(25%)程度です。 競馬ブック2005年1月5日号に載ったJRA理事長のインタビュー記事によると、 電話投票による売り上げは全体の4割を占めるそうです。25%の人間が40% の売り上げを上げるのですから、これは成功している例と言えるでしょう。

 電話投票の問題点は、専用口座の存在と掛け金と払戻金の受け渡しの問題です。電話投票をするには、投票権を主催者から獲得し、 「競馬ロック」タイプとよばれる口座を作らなければなりません。これは当然普段使う口座とは別物です。

 最近はどうか知りませんが、吉田が使っている東京三菱銀行のケースだと、 競馬ロック口座はオンラインバンキングができません。振込みによる入金を除くと、 すべてATMを通す必要があります。また、大当たりしても、すぐにはおろせません。

 この問題を解決するためにはじまったのが「即PAT」です。コンビニから気軽に入出金が行えるため、 これまでに比べると非常に利便性が向上しました。

 しかし、ネットによる馬券発売が売り上げ向上の起爆剤になるなら、 加入者制限などをせずにもっとたくさん人を集めれば良いだけのことです(現在 5万人ずつ 年4回の募集)。 地方競馬はネット投票に死活を見いだすため、いろいろな工夫をしていますし、なにより開通までの期間は短いです。 それでも売り上げは悲惨な状態です。

 ここで吉田が指摘したいのは、「ネット投票を必要とする人は、すでに加入権を持っているのではないか?」 と言うことです。人数と売り上げにおけるシェアを見る限り、ネット投票をする人はコアな競馬ファンと言えるでしょう。 「焼酎業界における1割のユーザーが9割を消費する」という構造に近いと思います。

 それでもまだ売り上げの6割を占めるユーザーが依然として存在します。これは何を意味するものか?  この続きは次回書きたいと思います。

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