東証システム停止にみるシステムのキャパシティ問題

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 ライブドアショックで改めて浮き彫りになった「東証の売買システム」の問題点。 昨年末から東証システムの不備はたびたび新聞紙上をにぎあわせていましたが、ライブドア関連のニュースが連日報道されていることで、 前回のシステムダウンよりも、大きく扱われているような気がします。

 今回の騒ぎを大きくした張本人は、間違いなく東証でしょう。粉飾決済などは確かに経済的なダメージをもたらす由々しき事件ですが、株価が上がっても下がっても利益を得る人間は必ずいます。つまり、株式市場が正常であれば、ネガティブな事件をきっかけに大もうけをする人間と、大損をする人間が出てきます。
 株式市場はマネーゲームなので、値動きをした瞬間が勝敗を決する機会なのです。

 東証のシステムは10年前に構築されたシステムであり、処理能力は約定450万件/日と言われています。 ニューヨーク市場は1時間に4000万件以上の株式を扱うので、処理能力の差は歴然としていますが、 日本ではアメリカほど株式投資がさかんではないため、 1日450万件でも大きな問題が発生しませんでした(これは市場で扱われる金額ではなく、取引件数ベースの話です)。

 しかし、近年ネット証券の発達で、個人投資家がデイトレーダーとして参加してきたことにより状況が一変しました。 デイトレードは1日から数日で株式売買をして利益を得るため、金額の過多は別として取引件数が増えています。 個人投資家が市場に占めるシェアは30%程度と言われており、 2000年を期に年々増加しています(大半がネットトレーダーだと思われます)。
 これまでは証券会社を通じて、長期間ホールドする投資家が多かったのに対し、 ネットを通じた個人投資家はデイトレーダーになりやすいようです。デイトレーダーの増加はすなわち、約定件数の増加につながります。

 なお、東証のシステムは対応年数を超えているため、システムの更新を計画していますが、計画に相当な遅延が生じているようです。

 さて、ここで本題のシステムのキャパシティの問題へ進むわけですが、 我々競馬ファンにとっても無関係とは言えないキャパシティ問題があります。
 それはIPATなどによるネット投票システムのキャパシティです。実際、 2004年(だったと思います)の有馬記念ではシステムのキャパシティを超え、オッズなどを扱うサーバーがダウンしてしまいました。その後、 JRAはIPATにアクセスするソフトウェアに対し、 制限を加えています(子会社のJRA-VANでは同機能を持つソフトの扱いを中止しています)。

 ある期間だけ急激に伸びる負荷のためにシステムの増強を図るか、あくまでも平均値をみてそれに見合った余裕度の設計をするか、 難しい問題です(身近な例では夏の電力消費などもありますね)。
 ピーク時にどう対処するかは、システムの重要度によって変わってきます。 インフラが停止してしまうと非常に大きな信用喪失をまねくので増強すべきとする一方で、遊休設備はコスト増加を招くとの懸念もあります。

 我々利用者としても、万が一の自体に備える必要があるのかも知れませんが、今のところ解決策はありません。

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