不快感を与えただけでタイーホ!?

Posted on :| コメント (0) | トラックバック (0)

 アメリカで奇天烈な法案が通過しました。「インターネットを使って誰かに不快感を与えただけで犯罪になる」 というものです。もともとはスパムメールなどに対応した法律だったようですが、どこかでねじ曲がり、 かなり厳しい制限の法律になっています。

●法案の概要

  • 自分の身元を明かさずに不快な書き込みをインターネット上で行う
  • 迷惑な電子メールを送信する

参照:http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000050150,20095138,00.htm

 以上の行為を行うと「厳しい罰金と2年未満の懲役」が課せられます。迷惑な電子メールとはスパムメール全般を指すため、 大きな問題にはならないでしょう。しかし、1番はじめの「身元を明かさずに不快な書き込みを行う」と罰せられるというのは、大きな問題です。

 ネット上で匿名性を維持するか、名前を開示するかの議論はつきません。しかし、吉田は参照元の記事にもあるように、 名前を明かすことで不利益を被り、情報が流れなくなる自体の方が問題があると思います。従って、 世の中には匿名でしか流せない情報もあることを、きちんと理解すべきでしょう。もちろん、匿名故のガセネタには気をつける必要がありますが、 特定のメディアがガセや妄言を垂れ流している状況もあるので、情報の真偽は自分で判断する必要があります。

 話がそれましたので、米国の法案に戻りましょう。この法案で一番問題視されるべきは、「不快」というきわめてあいまいな基準です。

「Aという人にとっては、有益であったり心地よいことが、Bから見ると不快である。」

 これは立場の違いからくる見解の相違です。日常的にも良くあることだと思います。例えば、ソニー好きの人がNINTENDO DSとPlay Station Portableの比較記事を読み、NINTENDO DSの方が優れているという記事を見つけたとしましょう。この人は記事の内容を不快に思い、 同法を適用して書き込みをした人を訴えることができます。
 雑誌などのレビュー記事は匿名には当たらないでしょうが、ブログの世界ではニックネームで記事を発表し、匿名でコメントがつきます。 こういう何気ない個人的なやりとりをしていたら、突然訴えられたというケースが現実に起る可能性があります。

 もちろん、これは米国の法案なので日本にいる限り、あまり縁のない話でしょう。しかし、日本にも似たような法案、条例があります。 「人権擁護法」と呼ばれる法律で、これは「不快」ではなく「差別」を問題としています。「ネット上の○○という書き込みは差別だ!」 と訴えれば、人権擁護委員という耳慣れない人たちの審議にかけられることになります。ここで差別と判断されれば、罰を受けることになります。

 実際に差別による被害を受けている場合は、たしかに何らかの処置が必要だと思いますが、先の米国の「不快」という感情と同じで、「差別」 と感じるかどうかは人により違うと思われます。極端な例ですが、 巨人ファンが巨人中心の話題を扱った掲示板を開設して盛り上がっているところに、他球団のファンが 「掲示板という公共の場で俺の球団の話題を出さないのは差別だ!」といって人権擁護法の適用を求めるかも知れません。
 「そんな馬鹿な」と思われるかも知れませんが、実際に差別を受けたと感じる人(厳密には人権を侵害された)がいて、 人権擁護委員がそれを認められれば罰則の対象となってしまうのです。

 なお、この法案はまだ可決されていませんが、一足先に鳥取県ではより凶悪な「人権擁護条例」というのが可決されています。

参照:サルでも分かる人権擁護法

 米国の法案も、日本の「人権擁護法」も「感情」というあいまいなテーマを無理矢理法案化したものです。インターネットにより、 マスから個人へのネットワークになり、今後もこういう危うい法律が出てくる可能性は十分にあります。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメント

コメントフォームに記入し投稿してください





Search
最近の記事
カテゴリー
過去の記事
Comments
TrackBacks
Feed
Powered by