シンドラー社のエレベータに見る企業思想の違い

Posted on :| コメント (2) | トラックバック (0)

 ちょっと時事ネタを扱ってみます。今、世間を騒がせているネタとして、スイスの「シンドラー社」 のエレベータの品質に関する問題があります。これは昨年末から騒がれていた「姉歯建築士による耐震偽造事件」いくつかの共通点があります。
 しかし、共通しているキーワードとして、「コスト」が浮かび上がってきます。

 「姉歯の耐震偽造事件」は意図的に品質を落として「コスト」を抑え、ヒューザー物件では平均物件価格よりも安い値段で、 専有面積の広い物件を提供していました。見てくれだけをよくして、魅力的な商品に見せたわけです。

 「シンドラー社」の場合も低価格を武器に、発展途上国でシェアをとり、世界第2位に上り詰めました。手法的には似ています。 低価格を実現する手段として利用したのが、低品質によるコストダウンです。

 姉歯と同時期に製品の欠陥で有名になった企業があります。松下電器です。10年以上前の石油ファンヒータに設計不良があり、 一酸化炭素中毒による死者を出しました。先の2社との大きな違いは、クレーム発生時の対応です。広告を定期的に打ち、 製品の有償による引き取りを訴えたことで、消費者の心証は良くなっています。

 一方のシンドラー社は、「製品の品質に問題はない」。「メーカー以外がメンテナンスをしているため、メンテに問題がある」 といった発言をくり返しています。その結果、日本、中国、韓国、アメリカで多くの事故を起こし、 アメリカでは100件もの損害賠償請求をされています。

 吉田もメーカーの人間なので、シンドラー社の事故を見たとき、これは設計に問題があると直感的に感じました。 エレベータの定期メンテナンスでどこまでをチェックするかは分かりませんが、ブレーキ等の重要部品のチェックはするはずです。また、 定期メンテナンスを実施しなければ、その間の品質が重要な死亡事故を起こすほど低下するのであれば、 設計に問題があるのは明かです(10年もメンテしてないならそれは問題ですが)。

 クレームというのは企業の姿勢を問われる事態なのですが、それよりももっと根本的な問題があります。それは価格と品質の問題です。 必ずしも高価格=高品質とは言えませんが、価格ばかりを重視するあまり、基本的な品質が見落とされている気がしてなりません。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメント

価格と品質の問題は永遠のテーマです。
品質第一なんて言われた時代の事は無視されて、価格破壊のみクローズアップされる世の中自体が間違っているような気がします。 
すぐ目先のことしか見えない方たちが世の中を動かす様になると、ともかく価格は安い物、品質は当然完璧...なんて平気で言うアンポンタン。
生き残るには地道な品質管理とそれによるネームバリューが鍵になるかと思います。
DVD−Rのメディアを買いました、当然’太陽XX’でし。

投稿者 カブ : 2006年06月09日 14:53

色々なニーズがあってしかるべきだと思いますよ。
とにかく価格が安ければいいっていうのも、ひとつのニーズだと思います。

問題は品質を伏せたまま、安さを売りにし、さも企業努力をしているように見せている企業ですね。

例えば、いくら安くても生ゴミ餃子はごめんですし、中国産の農薬野菜もまっぴらです。

投稿者 吉田章太郎 : 2006年06月09日 21:55

コメントフォームに記入し投稿してください





Search
最近の記事
カテゴリー
過去の記事
Comments
TrackBacks
Feed
Powered by