Windows9xのサポート終了とビジネスモデル

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 昨日、「Windows9x(98とMe)のセキュリティサポート終了」というニュースが流れていました。 Windows9xが多く稼働する教育現場では、大きな問題になってるようですね。WindowsMeはともかくとして、 Windows98はそのままにしておいた方にも問題があるといえるでしょう。そもそも、Windows98のサポート終了については数年前にアナウンスされ、 この時世界中で大反発を食らってサポートを延期したという背景があります。

 吉田の会社にも実は骨董品といえるパソコンが現役で稼働しています。Windows98どころか、 95や3.1が稼働しています(笑)。ここまで来るとすでに笑い話では済みません。
 この問題は3つの問題があると思っています。

(1) 設備の更新について考慮されていない

 学校等の設備は税金を予算にしているので、長く使ってもらうのは納税者としてありがたいことです。しかし、 すべてのものに対応年数が存在することは忘れてはいけません。パソコンは思いの外長く使えるので、 ついついTV並の寿命(10年程度)があるように思ってしまいますが、HDDや電源の寿命などハード的な要因の他に、 必要なアプリケーションを動作させるだけのパフォーマンスを考慮すると、3年〓5年が更新の目安となります。

 Windows98がインストールされたパソコンは、少なくとも7年は経過しているわけで、 いくら稼働すると行ってもやはり対応年数を過ぎた後は自己責任の世界でしょう。
 企業にしろ、学校にしろこの辺の認識が欠けていると思っています(いつまで95の入ったパソコン使わせる気だ>ウチの会社)。

(2) セキュリティ問題に対するポリシーがない

 専門家と称する人がニュースでもコメントしていましたが、 Windowsのセキュリティパッチだけを当てていれば安全なのでしょうか? どんなにセキュリティパッチを当てても、 バックドアやウィルスの感染を防げるものではありません(巷を騒がせたWinnyによる情報流出は、 セキュリティパッチだけでは防げません)。

 セキュリティホールはWindows以外にもあります。ExcelやWordにもあります。だから、Windows Updateが使えなくなった事だけを取り上げるのは非常にナンセンスです。

 各種セキュリティソフトもあわせて導入し、セキュリティポリシーとあわせてこそ意味があります(ウィルスバスターのトレンドマイクロの社員がアンチウィルスを導入してないパソコンを使って、 ウィルスに感染されて情報流出した事件もありました)。

 インターネットに接続しないというのもナンセンスです。今のパソコンはネット端末としての意味合いがこれまで以上に高まっている上、 FDやLANなどからも感染する可能性があります。

(3) ソフトウェアビジネスモデルに関する問題

 吉田もソフトウェアを販売している関係上、ビジネスモデルには興味があります。ソフトを例に取るまでもなく、 世の中のビジネスは製品の対価としてお金をもらう仕組みになっています。製品はTVや冷蔵庫などの家電、車、 宝石などの貴金属に至るまで実に多様です。ソフトウェアもこれまでの製品同様に、上記のビジネスモデルを採用してきました。

 ところがここに落とし穴があります。ソフトウェアはデジタルデータのため、容易に複製がとれます。 アナログテープのダビングのように劣化することはありません。また、プラットフォームが存続している限り、半永久的に動作します。
 家はともかくとして、車のような高額商品は製品自体の寿命やメンテナンスコスト、モデルの陳腐化により買い換え需要が発生します。 2〓3年、長くても10年で買い換えが発生します。宝石のような貴金属には確たる寿命は存在しませんが、 所有者の物欲やニーズを満たすために買い換えが発生します。
 このサイクルがソフトウェアには存在しません。

 実はソフトウェアでは、「買い換え」という当たり前のビジネスモデルが存在しないのです。 Win98で満足している人が、WinXPにする理由は何でしょう? 不満がない限りありません。これと同じです。
 しかし、ソフトウェアをビジネスにする場合、社員への給料や、新しい製品の開発コストを市場から調達する必要があります。 これにはソフトウェア製品を売らなければなりません。

 ここに大きなジレンマが存在します。シンプルぱっとを例に取って話すと、新たなバージョンアップやサポートに対するコストは、 新規ライセンス購入者が負担しています。これがイキナリ0になってしまうと、 今後のバージョンアップは行われなくなってしまう可能性があります(フリーソフトの場合は、趣味や作成者が利用するために作られているため、 興味を失ったりすればバージョンアップは行われなくなります)。

 つまり、Microsoftが古いソフトのサポートをやめると言った背景には、ソフト業界全体が抱える「ビジネスモデル」 に関する問題が潜んでいます。吉田は開発者としての立場もありますが、利用者として 「一定期間が過ぎたソフトは使用をやめて、新しいソフトに乗り換える(つまり買い換え)」、 「ソフトハウスと年間契約で更新料を支払う形式」に移行するかの選択を迫られていると思います。

 あらゆる場面にソフトウェアが利用されている以上、この問題は考える必要があります。

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