ネットの匿名性について考えてみる
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色々ネットで調べ物をしていたら、オーマイニュースという市民参加型ニュースサイトに 「匿名批判は損だなぁ」という記事があったので、ネットの匿名性について考えてみたいと思います。Web2.0の時代になり、 ただコンテンツを見る時代から、積極的に情報発信する時代になりました。ここで改めてこの問題を考えてみるのもおもしろいと思います。
吉田がネットの世界に入ったとき、インターネットはまだ広まっておらず、パソコン通信全盛でした。 この時はNifty-Serve(現@Nifty)、PC-VAN(現Biglobe)と言った大手通信会社のほかに、 個人が運営している草の根BBSがあった時代です。この時は、 ある草の根BBSのシスオペ(管理者)さんに色々ネット社会のルールを教わりました(下記参照)。
- 電話番号を含む個人情報を容易に漏らしてはいけない(トラブルに巻き込まれる)
- 個人の経歴よりも、発言が重視される
- 相手の事を考えて発言する
他にもいろいろありますが、現実世界と異なり、どこどこの社長や取締役といった現実世界の属性はあまり重視されませんでした。
もちろん、年齢や性別もしかりです(一部、顔が見えないことをいいことに、性別を偽っている人=ネカマがいましたが、これは今も同じです)。
要は「現実世界の肩書き」よりも、その人の「発言」が重視されていました。発言が重視されるというのは、
今のネット社会でも変わらないことだと思います。
さて、視点を変えて匿名であることのメリットデメリットを考えてみます。
●匿名であることのメリット
- 現実世界の肩書きに左右されない
- 現実世界のしがらみに発言を制限されなくなる
- 一部の過激な人に襲われなくなる
●匿名であることのデメリット
- 簡単に第3者がなりすますことができる(吉田もやられたことがあります)
- なりすましによる風評被害などが発生する危険がある
- 現実世界の肩書き、権威を利用できない(証明手段がなければ信用されない可能性あり)
さて、引用元の記事をちょっと見てみましょう。オーマイニュースに投稿された記事には、 匿名であることのデメリットがいくつか書かれていました。
匿名批判が損な理由(1)
自分がした批判に対するきちんとした回答をもらえません。匿名の批判は「クレーマー」にみなされがちです。
匿名であろうと、実名であろうと言っていることに筋が通っていれば、クレームとはみなされないと思います。 この方は大いに勘違いしていますね。そもそもネット上で実名を発表してもそれを証明する手段がないため、 本名を使おうがハンドル名だろうが同じ事です。
匿名批判が損な理由(2)
自分の批判が理論的に終始一貫しているか、誰も検証してくれません。その一方で、実名で記事を書いた記者は、 コメントから常に自分の認識を問われ、再確認しています。
ずいぶんとおもしろいことを言う人です(笑)。匿名もしくはハンドル名による投稿をしたら、 誰もその真偽を確かめないのでしょうか? 新聞などを見ても、署名記事のほうが圧倒的に少ないと思いますし、 署名がしてあっても数多くの誤報があります。故にメディアリテラシーが問われているのです。
さて、今度はネット上で実名を名乗ることについて考えてみたいと思います。
- ビジネスメールでは実名(または実名以上に個人を特定する名称)を使用するのが常識
- ビジネスメールの場合、担当者名(実名)以上に組織の名前が先に立つ
- 掲示板やブログに実名で書いても、それを証明する手段がない
吉田が思うに現実世界で実名を名乗って意味があるのは、名前、顔、所属組織などの属性、連絡先が一致している場合です。例えば、 単に「吉田章太郎」ですと名乗っても意味はありません。「○○(通常は企業名など)の吉田です」と名乗り、 名刺を出して証明することで初めて信用が得られます(この場合は、会社名が信用の担保になっていますので、 会社名がまったく無名であった場合は信用は低くなります)。
現実世界でも、実名を名乗ろうが偽名で通そうが、人が信用する材料を提示しない限り信用してもらえません。この場合は、 公文書であるほど信頼度が高くなります(運転免許、パスポートなど)。
では、ネットの世界でそれに相当するものは何でしょうか? 名前でないことは確かだと思います。 名前(ハンドルやニックネーム含む)は、個体を識別するのに利用できますが、証明手段として意味がないのは現実世界でも同じです。マンガ 「デスノート」の世界のように名前と顔を知られると殺される可能性が出てくるなら話は別ですが(ここでも偽名の問題は扱われています)。
掲示板やブログなどの場合は、名前よりも発言(もしくは情報ソース)に重点が置かれ、ビジネスの場合は、 相手の属性と確実な連絡先が重視されます。ネット世界の連絡先の代表格はメールですが、これにもピンからキリまであります。 最も信用度が低いのはフリーメールで、次にプロバイダー、最期に独自ドメイン(会社のアドレス含む)だと思います。 独自ドメインはJPNICなどのドメイン管理組織に問い合わせると、 本名や組織名などを検索することができます。
mixiなどのソーシャルネットワーク、ブログなどに参加する機会は今後も増えると思いますので、改めて「ネットで名前を名乗る」 と言うことを考えてみてはと思います。
#余談になりますが、「吉田章太郎」はハンドル名でも実名以上に知れ渡っています。また、吉田の場合は独自ドメインを取得し、 ある程度認知されたウェブサイトを運営しているので、 これがある意味信用の担保になっていると考えています(ウェブサイトを破棄する場合、 これまで築いてきたものをすべて破棄するわけですから、ISPを乗り換えるようには行きません)。
コメント
日経にこんな記事が出てました。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060905AT3S0501J05092006.html
ネット発信者の匿名性など問題視・総務省検討会
総務省はインターネット技術の普及に伴う通信制度の問題点をまとめた。情報の発信者が匿名であるために違法または有害な情報の摘発がうまくいかないことや、新しいコンピューターウイルスへの対応が不十分であることを指摘。通信の秘密に配慮しつつ、対策を急ぐべきだとした。
政府が言う匿名の規制って、韓国みたいに社会保障番号を入力しないと、ネットに接続できなくするとか何ですかね? どうも、無駄なことに税金が使われてるような気がします。
#莫大な投資をした「住基ネット」は何かの役になってるのでしょうか?
投稿者 吉田章太郎 : 2006年09月08日 14:43
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