やはり悩む次期開発環境

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 Windows Vistaの発売も間近に迫ってきました。 VistaはWindows95以来のメジャーバージョンアップとMicrosoftの中では位置づけられています(本来は次期バージョンとの中継ぎでしたが)。 吉田は次期開発環境の選定をここ数ヶ月行っていますが、未だに悩んでいます。これはひとえにVistaが抱える問題に絡んでいます。

 開発環境選定の上で、Vistaが持つ障壁を説明する前に、パソコン市場の動向を考察します。 以前のメジャーバージョンアップと言えば、Windows3.1から95に移行した1995年があげられます。 Windows3.1からWindows95に移行するときと、今回ではどのような差があるのでしょうか?

(1)ハードウェア環境の違い

  • Windows3.1→95に移行した時は、CPUは32ビット(486、Pentium)が主流になっていた
  • Windows3.1は16ビットOSで、Windows95は32ビットOS。 最も普及しているハードにOSが追いついた形
  • 現在は、64ビットCPU(Core2Duo、Athlon64)と32ビットCPU(Pentium4、Celeron、 AthlonXP)が混在しており、まだまだ主流は32ビットCPU

(2)ソフト環境の違い

  • Windows3.1→95に移行するメリットが非常に大きかった(特にシステムリソース面で)
  • 多くの人がWindows3.1に不満を持っていた
  • MS-DOSを使ったPCもあった(ただし、使用CPUは32ビットCPUである486SX/DX)
  • まだまだWindowsの普及率が今ほど高くなく、Microsoftの独占ではなかった

 PC市場は成熟し、OSもWindows2000で非常に高い完成度を達成しました。 Windows95が登場したときと現在を比べると「Microsoft Windowsが市場を席巻」、「主流CPUが定まっていない」 などの違いが浮き彫りになります。
 つまり、多くの人が現在のPC環境にある程度満足しており、Vistaや64ビットOSを必要としていません。ここがポイントです。

 さて、この前提をふまえた上で開発環境を見てみましょう。Windowsの開発環境のベースとなっているのは、 Win32と呼ばれるAPIです。Windows3.1の時代はWin16というAPIでした。Windows Vistaではこれまで使ってきたAPIとはまったく異なるAPIが導入されます(WinFX)。これは.Net Frameworkをさらに発展させたものです。

 しかし、2つ問題があります。

  1. .Netで作られたアプリケーションの少なさ
  2. Vistaの初回リリースでは、WinFXは搭載されない

 .Netは2000年にMicrosoftが提唱したものです。共通のランタイムライブラリを使い、 VisualBasicで書こうが、C++で書こうが同じ動作が保証されています。また、クラスライブラリが整備されているため、 これを使えばかなりプログラミングが楽になります。

 しかし、一時期に比べると.Netはあまり話題に上りません。Microsoftも.Netを使わず、 以前の開発環境を使う人が多いことに危惧を抱いています。クラスライブラリを使えばプログラミングが楽になるのは間違いないのに、 なぜ移行しないのか?

  1. 実行速度が遅い
  2. 実行に.Net Frameworkが必要
  3. VBの場合は、開発言語がまったく変わったと言っていいほど変化している
  4. 過去の資産が生かせない

 現時点ではデメリットが多く、なかなか移行が進みません。サーバー上で動く.ASPなら色々事例もあるでしょうが、 クライアントPCで動作するソフトは未だにVisual Studio6(1998年)と言った古い開発環境が使われています。 そもそもMicrosoft自身も.Netを使わず、未だにWin32 APIを使い続けています。

 過去の資産が生かせない、実行速度が遅いというのは開発環境としては致命的です。Windows Vistaで.Net(WinFX)がフルサポートされ、普及に拍車を掛けるならばこのデメリットをあえて飲んでも良いかと思いますが、 Vistaを好意的に見ている人はパブ記事を書いているライター以外には見あたりません。

 言語を変更すると過去の資産の継承ができないため、この件は非常に悩んでいます。

コメント

はじめまして。Inakenと申します。

実は今、Visual C# 2005 Express Edition で競馬予想ソフトを作っておりまして、そろそろIPAD自動投票機能を載せようとしておりました。

自分でIPADのHTMLの解析しようかと思っていたのですが、そんな折に「DIY 競馬プログラミング IPAT DLL編」を運良く見つけ、即購入いたしました。

これで簡単にIPAD自動購入機能が載せられそうです。ありがとうございます。

しかし、ここで疑問が。

このDLLって再配布可能なのでしょうか?本の中にはその辺のライセンス関係のことが載っていなかったもので。

今はまだ競馬ソフトそのものも作り出したばっかりですので、無料配布や商用配布できる状態ではないのですが、将来的には配布を検討したいと考えておりますので、ライセンス関係について教えて頂けないでしょうか?

よろしくお願いいたします。

投稿者 Inaken : 2006年09月22日 15:36

内部に収録されているプログラムは書籍と同じ扱いなので、内部のコードをソフトに組み込むことは問題ありません。しかし、DLLを別途配布するとなると、出版社との契約に引っかかるためできません(再頒布権)。

投稿者 吉田章太郎 : 2006年09月22日 21:06

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