改めて凱旋門賞を振り返る

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 ディープインパクトの凱旋門賞挑戦は3着に終りました(JRAの海外遠征特集)。 深夜の放送でしたが、多くの競馬ファンが注目したと思います。さて、1999年のエルコンドルパサーに続き、 日本調教馬は優勝できませんでした。色々敗因は見えていると思いますが、最大の違いは凱旋門賞というレースの性格だと思っています。

 競馬の世界では主催者が思い描くエピソードがあり、そのための舞台設定がされています。人間の徒競走と比較すると、 競馬はえらく不平等なシステムになっています。枠順により走行する距離が違うのも、負担重量が馬によって違うのも不平等といえます。
 これはひとえに能力検定よりも、ギャンブルとしての要素が強いためですが、凱旋門賞も多分にその傾向があります。

 凱旋門賞は、3歳が56kg(牝馬54.5kg)、4歳以上59.5kg(牝馬58kg)と斤量が定められています。 この斤量設定を見て、何かに気づくはずです。日本では59.5kgという斤量はハンデ戦並みの重たい負担重量ですが、 3歳馬との差は3.5kgとかなりのハンデがあります。
 その結果、ここ10年の優勝馬の多くは3歳馬です。斤量の設定ひとつとっても、極端に3歳が優遇されているレースであるといえます。

 一方、同時期に開催される日本の代表的な古馬G1は以下の通りです。

 天皇賞・秋やジャパンカップは、強い古馬が順当に勝ちます。つまり、 最も充実している4歳馬に勝たせるために有利な条件を整えています。一方、2000年までの有馬記念では馬齢による不均衡が見られました。 低迷していた5歳以上の古馬の復活劇と、世代交代を予見させる3歳馬の活躍を演出するためです。

 それでも日本では古馬と3歳馬の負担重量の差は2kg以内にとどまっているのに、凱旋門賞の3.5kgはかなりの負担です。 3歳馬は夏を超えて成長し、4歳馬と対等の力をつけていく時期です。日本の場合、負担重量の差が2kgにとどまっていますが、 ジャパンカップの頃には3歳馬は4歳馬に並ぶくらいの実力を身につけます。

 強い3歳馬がジャパンカップを制覇するのは、そういう理由です。

 欧州では凱旋門賞にとどまらず、3歳馬を優遇する傾向が強くなっています。これはつまり繁殖を見据えてのものでしょう。実際、 世界最高峰をうたう凱旋門賞は、せん馬の出走ができません。繁殖にあがれない馬には用がないと言うことでしょう。
 思うに、これは種馬にハクをつけるレースなのではないかと思います。牝馬の条件も日本よりも厳しいですし。

 エルコンドルパサーにつづき、ディープインパクトが負けたことで、今後凱旋門賞を狙う馬は、 3歳での遠征も検討した方が良いかもしれません。

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