改めて著作権を考える

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 巷で何かと話題になっている著作権。最近、著作権法を改定して、著作権の保護期間を延長しようという動きがあります。 これらの動きを踏まえ、改めて著作権について考えてみたいと思います。
 著作権法についてはこちらをご覧ください(法庫)。

 著作権はパソコンとインターネットの普及により、これまでの定義に当てはまらないケースが増えてきています。例えば、 ファイル交換ソフトWinnyやWinMXの存在。これらで著作者に無断で著作物を流せば、著作権法違反になることは変わりません。

 さて、色々な問題を見る前に、そもそも著作権法の目的と、概要について触れておきたいと思います。

■著作権法の目的

  • 著作権者の権利を守ること
  • 法律で権利を定めることにより、著者が安心して著作物を世の中に発表できるようにすること
  • 各種権利関係を明確にすること
  • 著者の権利を守ることで、文化的な発展を目的とする

 著作権は色々著者の権利を保護していますが、特許に比べるとだいぶ緩い扱いになっています。 そもそも文化的な発展を目的とした権利なので、インスパイヤ(俗にいうパクリ)を許容してます。もちろん、盗作は認めてませんが。
 一方特許では、特許庁に出願し、審査申請して初めて特許法で保護された強力な権利が手に入ります(特許侵害による訴訟、 特許料の請求など)。出願して特に不備がなければ、1年6ヶ月後に公報に発表されます。通常はこの段階で止めることが多いです。
 特許がアイディアを保護し、権利者に独占的な権利を認める制度なのに対し、著作権は思想や感情などを表現した著作物を保護する制度です。 著作権で保護されるのは極端に言ってしまえば、物質的なものです。

 では、著作権法で保護されているものはなんでしょうか?

■著作権で保護されるもの

  • 著作者人格権………発表、氏名公表、著作物の同一性の保持
  • 著作権(財産権) ……著作物の利用を許諾、禁止する権利

 著作権法では、これらの権利を著作者の死後50年間認めています。本来、著者の権利を守るのであれば、 死後の権利を認めるのもおかしな話ですが、そこは大人の事情が絡んでます。
 作家の配偶者など、残された家族のための権利であれば美談で終りますが、 後述する頒布権を企業に譲渡したことで非常におどろおどろしい世界の話になります。

■何が問題か?

 よく問題になるのは、著作権(財産権)を侵害したというものです。ただし、これらの権利は金銭が絡まない限り、 被害届を出しても警察は取り合ってくれません。各種著作権関連団体もカネにならないものは眉ひとつ動かしません。
 つまり、著作者の権利は砂上の楼閣の上に成り立っていると言えます。吉田の場合、複数の著作物がありますが、 おっず道楽のヤフオク無断出品については、被害届を出しても警察は取り合ってくれないでしょう。 シンプルぱっと2のライセンスキーを公開している競馬予想会社があるようですが、こちらについては被害届をだせば取り合ってもらえます。

 実際、著作権がらみで事件になるのは、頒布権をレコード会社、出版社などの付与したときに発生します。 当然これらは金銭的な対価が発生するものなので、著作物の頒布権で飯を食ってる会社はその権利を声高に喧伝します。
 しかし、著作権は特許権と違い、権利者に独占的な権利を与えるものではありません。あくまでも文化的な発展を主眼においているため、 類似の著作物を許容しています。

 その結果、世間には「インスパイヤ」という都合の良い単語を使ったパクリ作品が許されています。ただし、 デザインとかをそっくりそのまま拝借すると、盗作とみなされるでしょう。この辺の線引きは問題が発生した場合に法廷で争うことになります。

 世界で一番著作権にうるさいと言われているのは、「ディズニー」です。うそか本当かミッキーマウスのシルエット(●。 ●みたいなやつ)を使っただけで、訴えられるとか。
 そのくせ、手塚治虫の「ジャングル大帝」にインスパイヤした「ライオンキング」なんて作品を公開してたりします。これが特許法であれば、 確実に抵触したと思いますが、著作権法の判断ではグレーゾーンになります。

 吉田が一番問題視しているのは、「著作権によって守っているのは誰の権利か?」と言うことです。 法律では著者を守っているように見えますが、実際には頒布権を持つ企業のための法律と言ってもいいでしょう。 著者の死後50年間保持される権利などもそう感じさせます。

 JASRACなどの権利団体は、著者のことは一切見えてない様に見えます。 JASRACについては競馬三昧以外のBLOGでもその「著作権ゴロ」 振りについて批判しているウェブが沢山あるので、興味のある方は検索してみてください。

 次回はこれからの著作権について考えてみたいと思います。

 

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