オープンソースとソフトウェアビジネスモデル
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先日
「WindowsVistaとソフトウェアビジネスモデル」のエントリーを書きました。
多くの人がMicrosoftに嫌気が指しているようで、WindowsやMicrosoft
Officeに変わるソフトウェアを探し求めています。
この時必ず引き合いに出されるのが、LinuxやOpenOfficeなどのフリーソフトウェア(およびオープンソース)です。
■オープンソースとは?
オープンソースやフリーソフトウェア(GNUなど)は、 ソースコードを公開し、かつ誰でもそれを自由に利用できる権利を与えるという考え方です。オープンソースの代表格は、 LinuxなどのフリーのOSです。これらはフリーといっても必ずしも無料のソフトを指しているわけではありません。 誰でも自由(フリー)に利用できるソフトウェアという意味です。実際、Linuxパッケージの中には、 Windowsと同等の代金が必要なものもあります。
■オープンソース、フリーソフトウェアにすれば全ての問題が解決するのか?
残念ながらNoです。無料で利用できるソフトが多く、ソースコードも公開されているため、 自分好みのソフトウェアにカスタマイズしたり、誰かが改良したバージョンを利用したり、 場合によってはカスタマイズしたものを自分で販売したりと夢のように語られていますが、世の中それほど甘くありません。
Linux(OS)、FireFox(ブラウザ)、Thunderbird(メール)、 OpenOffice(ワープロ、表計算)、 Eclipse(開発環境)など、 誰もが一度は耳にしたことのあるオープンソースソフトがあります。また、サーバー分野ではAppache(ウェブサーバー)、 Postfix(メールサーバー)、 MySQL(データベース)などもオープンソースです。
オープンソースの基本は自己責任です。ソフトウェアのバグを見つけたら自分で直すか、開発者にバグ報告するなどの対応を行います。
しかし、バグが直る保証はありません。また、あまり利用者がいない分野の場合、メンテナンスや開発自体が滞っていることも少なくありません。
日本では2ちゃんねるブラウザが最も活発で、その他はあまり動きはありません。
例えば、吉田も愛用しているIrvineというダウンローダソフト(オープンソースとしてはOpenIrvine)は、
4年も前から一切動きがありません。
つまり、オープンソースはよほどメジャーなものでない限り、 利用者自身もオープンソースになんらかの貢献をしなければならないのです(義務ではありません。そのため、賛同者が少ないと、 プロジェクト自体が停滞します)。
また、ソフトウェアの開発、ドキュメントの作成などにも当然人手が必要になります。 これらは基本的に無償で全世界の有志がやっています。彼らは自分たちの余暇の時間をオープンソースの活動に費やしています。 無償で活動する動機は人それぞれですが、共通しているのはソフト開発にかかっているコストは別で捻出していると言うことです。 Eclipseのようにスポンサー(IBM)が付いているプロジェクトもありますが、基本的には無償奉仕です。
■マイナーなソフトはオープンソースになり得ない
マイナーなソフトとは、吉田が作っているような競馬ソフトがそれに当たります。マイナーなため、開発者や協力者(ユーザーではなく、
制作側に回れる人)を集めるのがまず難しいでしょう。また、日頃サポートをやっていて感じることですが、
多くの人はなんとかパソコンが使えるレベルであり、プログラミングなどはまったくできないひとが多いのです。これでは、
オープンソースのプロジェクトを立ち上げても、開発が進まず没になる可能性があります。
また、パソコンに疎い競馬ファンに必要なサポートは、当然受けられないでしょう。
世の中のソフトウェアを見渡すと、有償のものと無償のものがあります。無償で公開されているソフトの多くは、 自分が使いたいと思ったソフトをフリーソフトとして公開したものです。 フリーではそもそもサポートやバージョンアップを求めることが筋違いであるため、 作者がよほど暇かソフトの発展に使命を見いだしている人でない限り、バグフィクスすら行われない可能性があります。
競馬ソフトにもフリーウェアが存在します。吉田が作ったおっず道楽もそうです。しかし、 オープンソースは残念ながら見たことがありません。競馬の場合、ソフトウェア以外にノウハウが含まれていることもあり、 これらの公開をヨシとしない人が多いことも理由のひとつです。また、先の開発者が集まらないというのももうひとつの理由です。 もうひとつダークな理由を挙げるとすれば、競馬業界にはモラルの低い人がおり、 他人の著作物を自分のものとして売っている人が少なからずいます。
また、競馬は個々の細かいニーズがよく出される分野であり、JRAのシステム変更や競馬法の改正などによっても修正が必要です。 つまり、圧縮解凍ソフトの分野よりは頻繁なバージョンアップが行われることを意味しています。
これらのコストを回収する意味でも競馬ソフトには有償ソフトが多数揃ってます(競馬の場合、 お金がかかっているのでなおのことです)。しかし、 多くのソフトがバージョンアップや保守費用を新たな利用者から回収するシステムであり、 これにも問題があります。常に新規顧客にソフトが売れないと、メンテナンス費用も捻出できないと言うことです。
■ソフトウェアビジネスモデルの転換が求められているのでは?
先日のエントリーの問題としても触れましたが、新しいソフト販売によってしかメンテナンスコストを調達できないため、
ソフトによっては「○○○ Ver8」や「▲△ 2007」といった名前のソフトが販売されるのです。しかし、
今使っているソフトに不満がなければ、ユーザーはバージョンアップしません。
そこでソフトハウスはユーザーの目を引く新機能をわんさか盛り込み、バージョンアップを促すのです。
こうして、無駄な機能アップによって肥大化したソフトウェアが世の中にあふれる結果になります。
ソフトウェアがスマートに成長していくためには、開発者を何らかの方法でサポートする必要があると思っています。 メジャーな分野では、オープンソースのような形式にするのも効果があります。 ニッチな分野では誰かが作ったソフトを買うのが一番手っ取り早い解決方法です(吉田もよくソフトを購入します)。
ただ、このソフトを買うという行為を見直した方が良いと思ってます。ソフトを消耗品や工業製品と同じビジネスモデルで扱う行為は、 すでに破綻しかかっています。このモデルで今後も運用を続けていくと2種類のパターンに陥ります。
(1)肥大化パターン
- Microsoft他のビジネスモデル
- 新しいバージョンには機能がてんこ盛り
- 以前のバージョンよりも確実にCPUやメモリ、HDDなどのリソースを必要とする
- いらない機能、使われない機能が多くなる
- ソフトが複雑化することで、品質が低下することもある
(2)価格アップパターン
- ソフトウェアがバージョンアップするごとに、洗練されてくる
- バグフィクスなどは万全(以前のバージョンでつぶされていく)
- 以前のバージョンで満足している人は、新たなバージョンを買わなくなる=市場がどんどん先細り
- 新しいバージョンは市場が少なくなった分、より高額になる
どちらも最期は破滅するような気がしますね。第3のパターンを模索すべきでしょう。ソフトウェアの機能美、シンプルさを保ったまま、 新たなニーズにも対応できるスタイル。例えば、年間ライセンス(アンチウィルスがこのスタイルです)や、 オプション(機能ごとに価格がついており、必要なオプションを選んで購入)制など。
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