マニュアル読みますか?

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 あなたはマニュアルを読みますか? 新しい家電を買ったり、携帯電話を変えたり、はたまたソフトウェアを購入したときに、 添付されているマニュアルを読みますか? 分厚くて読む気がしない?
 こういう人が大半だと思います。実は吉田もそうです。マニュアルを作成する立場の人間ですが、まともに読んだマニュアルはごく少数です。

 

■色々なマニュアル

 家電やプリンターには、マニュアルを読まない人のために「スターティングマニュアル」や「設置マニュアル」が用意してあります。 これはたいていA3用紙で1枚ペラぐらいのマニュアルで、絵をふんだんに使って必要最小限の説明だけがなされています。
 たいていの人はこのマニュアルだけは目を通します。設置(あるいはインストール)をして、まず製品やソフトウェアをいじくり倒します。 最もマニュアルが読まれないジャンルは「ゲーム」ではないでしょうか? ゲームの場合、マニュアルには目もくれず、 ソフトを立ち上げて遊ぶことが多々あります。最近のゲームは簡単なチュートリアルで操作説明をするものが多いので、 特定の操作方法につまるまでマニュアルを開かないことがほとんどです。

 家電やソフトの場合もその傾向が見られます。とりあえず、インストレーションだけを終了させるために、インストールマニュアル、 設置マニュアル、スターティングマニュアルだけを読むのです。これらのマニュアルの役割は、 ハードウェアやソフトウェアをとりあえず使えるようにし、ユーザーの利用頻度の高い機能の説明だけをします。

 マニュアルは基本動作から外れたことをしたいとき、設定をしたいときなどに初めて開かれます。メンテナンスも然りですね。 吉田がこれまで見てきたマニュアルで、これは!と思ったものは、実は掃除機のマニュアルです。ダイソンのサイクロン式掃除機のマニュアルは、 スターティングガイドと変わらぬ薄さですが、文字ではなくすべて絵で説明してあることです。絵で手順を説明しているので、 絵を見ながら説明文を読む必要はありません。機能が単純な掃除機ならではですが、思い切ったことをするもんだと感心したものです。

 逆に読みたくないマニュアルの筆頭はHDDレコーダやメディアプレイヤーのマニュアルです。こちらは分厚く、 文字による情報量も多く、とにかくかったるかったです。自分のやりたい事を探すのに、 メーカー独自の用語に置き換えて探すのもかったるいものです。

 

■マニュアルの役割

 分厚いマニュアルを用意しても、なかなかユーザーは読んでくれません。サポート窓口へのアクセスが容易な場合は、 マニュアルを読まずにサポートに質問します。 あるいは掲示板などに質問します(2ちゃんねるでマニュアルを読まずに質問すると叩かれますが)。

 このような流れもあり、はじめに読んでもらうマニュアルはどんどん薄くなりました。 マニュアルなしで使えればそれに超したことがないですが、人々への認知が甘い分野はどうしても説明書が必要になります。 JRAも三連単などのフォーメーションやマルチ馬券の作り方のマニュアル作りに苦心しています。
 逆にやかんや包丁、はさみと言った十分に認知されている製品はマニュアル無しでも問題ありません。 せいぜい製造物責任法(PL)対策で注意書きを入れる程度です。

 スターティングマニュアルが薄くなっている反面、正規のマニュアルはどんどん厚くなっています。 これは自分の経験と考えによるものですが、マニュアルを「よくある質問対策」や「辞書」的な位置づけにしているためでしょう。
 製品がどんどん複雑になっていくため、使い方もどんどん複雑になっていきます。 複雑な使い方を説明するためにマニュアルに記載すべき事項が増えます。 マニュアルに書かれていないことはすべてサポートコストに跳ね返りますので、当然マニュアルも分厚くなります。
 しかし、マニュアルが分厚くなればなるほど、人に読まれなくなります。まさに悪循環です。

 

■吉田が作ったソフトのマニュアルに対する見解

 家電などの日用品については当てはまりませんが、ことソフトウェア製品については、次の考えが適用できると思います。

  • ヘルプとして本体に同封するマニュアルは、必要最小限の事を書く
  • 詳細なマニュアルはウェブもしくは検索可能なオンラインヘルプにする
  • 機能視点ではなく、「○○がしたい」という要求視点で書く
  • 分かりやすいところに目立つように掲示する
  • 自動運転のように、ある程度体系的な知識が必要なものについては、 別途マニュアルを用意する(PDFマニュアルなどでもよい)

 索引やジャンル分けは紙マニュアルには有効ですが、ことデジタルデータについては、 検索という仕組みをうまく利用することが大切です。ただ、ドキュメントを用意するコストは、 ソフトウェアの構築同様に非常に多くの労力を要する作業です。こういう方向性が見えていても、なかなか実行するのは大変です。

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