ウェブアプリケーションのメリットとデメリット

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 吉田は主にWindows上で動作するソフトの開発をしています。会社では組み込みシステムという、 専用のハードウェアでのみ動作するソフトの開発も行っています。
 どちらのソフト開発にしても、共通しているのは「プラットホーム」の存在です。ソフトウェアは単体では存在できません。 ソフトウェアを実行するためのハードウェアがセットになっています。従って、ソフトウェアを語る場合、 当然プラットホームがあることが前提となります。

 

■プラットホームとは?

 Windows上で動作するソフトは、パソコンとOS(この場合はWindows)がプラットホームになります。 ソフト開発者が特に意識しなければならないのはOSの存在です。ご存じのようにWindows OSは、 Windows9x系(95/98/Me)とNT系(NT/2000/XP/Vista)があります。 作ったソフトがすべてのWindowsで問題なく動作すれば安心ですが、なかなかそう簡単にいかない事情があります。

 例えば、シンプルぱっと2はVistaではまだ動作しませんし、古いNTでも動作しません。 するとこのソフトを動作させるにはWindows98/Me/2000/XPのいずれかが必要になります。とは言え、 毎回すべてのOSするのは困難なので、主要OSで一通りのチェックをし、古いOSは主要機能だけの確認にとどまることが多いのです。

 OSはハードウェアの違いを吸収し、ソフトの動く下地を整えてくれるありがたい存在ですが、 同時にソフトの動作環境を縛るものでもあります。Windows向けに開発されたソフトは、MacやLinuxでは動きません。 

 一方で最近脚光を浴びている「ウェブアプリケーション」なるものがあります。 これはブラウザさえあれば動作するアプリケーションです。

 

■ウェブアプリケーションのメリット・デメリット

 ウェブアプリケーションとは、Google MAPSやGMailなどに代表されるアプリケーションのことを指します。ウェブ上で提供されるサービスの一種ですが、 最近ではデスクトップで実行していた表計算ソフトもウェブアプリケーションに移行させる動きがあります。故に、単なるサービスから、 アプリケーションと呼ばれるようになった訳です。

(1)メリット

  • アプリケーションをインストールする必要がない
  • データはサーバーで保存されるので、どこからでも利用できる
  • 使い慣れているブラウザで、いろいろな事ができる
  • プラットホームを意識しなくて済む(OSによる違いがない、場合によっては携帯でも)
  • 大量導入する場合は、コストが安く済む

(2)デメリット

  • 使い勝手が悪い
  • 普通のブラウザで当たり前の機能が利用できないことがある(戻るボタンなど)
  • スタンドアローンに比べると、セキュリティ上の懸案が高まる
  • 遅い

 ウェブアプリケーションのメリットはプラットホームを意識しないこと、ソフトのバージョン管理等が不要なこと、 ソフトの導入が不要なことなどがあります。反面、使い勝手は悪くなり、処理スピードも落ちます。

 一長一短ありますが、パソコンに不慣れな人にとってインストールやソフトの管理から解放される点が受けているのでしょう。ただ、 OSによる差はなくなりますが、ブラウザ毎の差がでてくるので、プラットホームは形を変えて存在してます。

 

■競馬ソフトとウェブアプリケーション

 吉田が携わっている「シンドローム」でも、 ウェブアプリケーション化が検討されたことがあります。ユーザーにとってはブラウザひとつでどこでも、 しかもオッズの蓄積を意識せずに利用できるのは魅力に見えるみたいです。

 しかし、この計画は立ち消えになりました。技術的なこともさることながら、JRA-VANデータの権利関係の問題からです。

 ウェブアプリケーションはデータをサーバーからもらい、それをブラウザ上で再構成して出力するタイプのものが多いです。 企業内で使われているのは、入力要素を多く持つ帳票系のアプリケーションが多いかも知れませんが、一般には出力要素の方が多いと思います。

 競馬の場合は出力要素の方が多いため、実はウェブアプリケーションとの相性はよいと思います。しかし、データを分析、 処理するのに多大なCPUパワーを必要とすることがあり、規模が大きくなればなるほど高性能なサーバーが必要になります。 こうなるとコストは鰻登りです。
 あらかじめサーバー側で処理した内容を表示するという手もありますが、 それだと普通の競馬ウェブサイトとあまり変わりません(競馬ソフトの場合、ほとんどサーバー側で処理した内容を表示することになりますが)。

 競馬の場合、ユーザーが重視するさまざまなポイントに対し、ソフトがどう応えるかが重要になってきます。しかし、 要求が多くなるほど、サーバーに負担がかかり、結果的にレスポンスの低下や、最悪サーバーダウンなどを引き起こします。
 これらを考えると、まだまだスタンドアローンタイプのソフトに軍配が上がります。

 世間的な流れを見ると、ウェブアプリケーションが大きく取り上げられていますが、 猫も杓子もウェブアプリケーションに走るのではなく、それぞれのメリット、デメリットを踏まえて検討する時期に来ていると思います。

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