「凪(なぎ)」の時間

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 最近、デビットアレン著の「仕事を成し遂げる技術 Getting Things Done」を読みました。邦訳の方ですが。 吉田はこの本ではなく、別方面からGTDに触れたため、一番はじめに出版されたGTDを読んでいませんでした。
 しかし、この本は噂通り、ひどく読みづらく分かりづらい本ですね。訳者が機械翻訳な上、 デビッドアレンの言い回しが回りくどいことが原因でしょう(デビッドアレンは文章が下手?)。

 この本からGTDに入門するのはやめた方が良いです。GTDを解説している各サイトなどで概要を理解してからの方が良いです。 吉田も自分の知識で補完しながら読みました(笑)。
 さて、内容的に目新しいことはなかったのですが、本書の中でデビッドアレンが指摘している「不可解な空き時間」 について考察してみたいと思います。

 

■知的労働者のためのGTD

 GTDは知識労働者のための時間管理術と銘打たれています。これを理解するには知識労働者の特徴を把握しておく必要があります。

  1. 知識労働には明確な終わりがない
  2. 仕事の進め方は、各人にゆだねられている

 仕事にはプロジェクトマネージャやチームリーダーなど、全体を統括する役割の人はいますが、 委任された仕事の進め方は各人にゆだねられています。マネージャからは、単に「○月○日までに企画書をまとめてくれ」、 「○○の機能を実装してくれ」と言った内容で依頼されるケースがほとんどでしょう。
 それぞれの仕事をさらに細かいタスク(GTDの次のアクションリストレベル)まで落とし込み、仕事を行います。

 ここから先は時間管理とタスク管理の世界になり、1日にやるタスクをあげて遂行していきます。しかし、 その過程でどうしても細切れの時間が発生してしまいます。まるでHDDの断片化のように。

 この断片化された時間をどう使うかが時間管理術の肝になります。

 

■不可解な空き時間

 日々のタスクに追われている人は、それこそ1日にやるべき仕事に追い回されているわけですが、実際によく観察してみると、 細切れの空き時間が発生している事に気づくはずです。

 例えば、電車等での移動時間、○○の待ち時間など。これらは5分10分かもしれないし、30分以上あるかも知れません。 いずれにせよ、1分単位でスケジュールが組まれるなど、一般的な知識労働者にはあり得ないことです。

 GTDでは断片化された時間を活用するために、状況、利用できる時間、 エネルギー毎に分類されたアクションリストを作成することを薦めています。

(1)状況

 「コンピュータで」、「電話で」、「オフィスで」など、特定の条件下でないと遂行できないタスク

(2)利用できる時間

 作業に費やせる時間。基本的に断片化された時間のサイズ。2時間かかる仕事を30分の空き時間で処理できません。

(3)エネルギー

 気力、体力が充実していれば、困難な仕事にも進んで向かっていけます。しかし疲れているときや気分が乗らないときに、 検討を要する仕事や、気力を振り絞る必要のある仕事は出来ません。

 GTDでは、上記の「状況」、「利用できる時間」、「エネルギー」に照らし合わせ、 それぞれのカテゴリーのアクションリストを片っ端から片付けることを推奨しています。
 しかし、一般的なToDoリストはこのようなカテゴリー分けが出来ないため、大抵は「状況」や「時間」 にのみ着目したリストになっていると思います。これを元にその時の状況に合わせて処理していきます。

 GTDを実践していくと、実は(3)がかなり重要であることに気づくはずです。あるタスクに費やせるエネルギーとは、 その時のやる気や疲労度にもろ影響を受けています。

 

■凪=なぎの時間

 吉田が勝手に「凪の時間」と名付けた時間があります。これは細切れになった時間とは別の性質を持つものです。 凪の時間は意図せず突然出現します。まだやることが残っているのに、疲労や気力がわかずタスクの遂行が出来ない、 ついつい無意味に時間を過ごしてしまった。こんな状態を指します。
 細切れの時間との違いは、やる気の問題です。

 知的労働は、肉体労働のように汗水垂らして働くことは余りありません。その代わり、精神的な疲労が伴います。 特に頭や神経を思いっきり使う仕事をしたときは、ぐったりとします。この状態では何をしても大した成果は上がりません。

 こんな時は早めに寝たり、気分転換に余暇を過ごすのも一つの手ですが、状況がそれを許さなかったり、 凪の時間が3時間以上あると考えてしまいます。でも、2ちゃんやmixiで時間を費やすのも考え物です。

 そんなときのために、エネルギーが不足した状態=疲労状態のためのアクションリストを作成しておきます。 状況や利用可能な時間によらず、疲れたときに出来そうなタスクで固めます。
 もし、凪の時間に遭遇してしまっても、そのためのリストを用意しておけば、その中のひとつやふたつ片付けられるかも知れません。

 最期に疲労時にこなすべきタスクの一例を挙げておきます。

  • 机の周りの整理
  • パソコンの掃除
  • OSのクリーンインストール
  • 領収書の整理
  • HDDの整理

 

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