片山さつきの妄言「システムは数ヶ月で出来る」

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 今回はちょっと政治家をこき下ろします(笑)。片山さつき議員(プロフィール)が社会保険庁の年金システムについて、 「システムは数ヶ月で出来る」という発言についてです。
 政治家の失言は安陪内閣では多発していますが、広報部長の立場にある人間が、このような無責任な台詞をのたまうのは納税者としても、 システム開発者としても見過ごすことは出来ないためネタにさせてもらいます。

 

■片山さつきの妄言

 

 最近何かと話題になっている年金問題ですが、このシステムは社会保険庁がNTTデータと日立に発注して作ったものです。 吉田の友人も日立に派遣され、ここで2年近くシステム開発(年金システム)に従事していました。ここの内情は友人から聞きましたが、 プロジェクトは常に火を噴き、デスマーチの嵐でとんでもない状況だったようです。月当たりの残業時間は軽く200時間を超えていたとか……。

 

 友人からは、会うたびに「つらい」「つらい」という話を聞かされました(その後彼は精神的にやんでしまいました)。

 客の要望事項をまとめ、ソフトウェアやシステムにまとめ上げるのはSEや開発者の仕事ですが、 その仕事の見積もりは専門家にしかできません(専門家ですら、その手法の確立に四苦八苦しています)。もちろん、 際限無しに予算や開発期間を認めるわけにはいかないので、客側にも予算という枠があります。このすりあわせを行うのが、見積もりなのです。

 少なくとも「自由民主党広報本部副本部長兼広報局長」という肩書きを持った人物が、自分の思いこみととれる発言をしてよいものか、 理解に苦しみます。片山さつきは財務官僚時代、自衛隊の予算についても妄言を吐き、 事務処理の一部を隊員の自腹でまかなうようなことをさせています。

 吉田の個人的な感想ですが、片山さつきは自分の狭い世界だけしか理解せず(理解しようとしてない)、 その物差しでものを言っているのだと思います。イチブロガーレベルならそれもいいですが、 肩書きを持った政治家が軽々しく発言するのは赦されないことでしょう。

 

■ソフト開発、システム開発に対する誤解

 リンク元の記事では、 マイクロソフトの名前が出てきています。マイクロソフトが何を言ったかは言質がとれていないので、コメントは避けることにします。
 世界最大のソフトウェア会社であるマイクロソフトは、ソフト開発の困難さを身にしみて分かってるはずです。Windows Vistaの体たらく(度重なる機能のキャンセルと、リリース期限の延期など)を見ていれば。

 ソフトはTVやデジカメなど物質的なものではなく、コピーが容易であるため、その価値がかなり低く見られていますが、 今の世の中はソフトウェアで回っていると言っても過言ではありません。銀行のオンラインシステムのような大規模なものから、 TVや洗濯機などの家電に至るまで、ソフトウェアが介在しています。ハードウェアだけで構成された製品は、 今ではかなり少なくなっています(中には専用チップひとつで済ませられるものもあります)。

 ソフトウェアの作成は要件定義からはじまり、設計、実装、テストというプロセスで行われます。 ひとつひとつの行程はすべて人手で行われます。つまり、泥臭い作業の積み重ねなのです。これが大変な手間暇がかかります。

 社会保険庁の年金システムのように大規模なものは、要件を定義するだけでも数ヶ月かかると思われます。要件定義は、 システムをどのようなものにするかを定義する大事な行程です。ここをないがしろにすると、 客の要望とはかけ離れたろくでもないシステムが出来ます(故に、吉田は結構な時間を掛けて要件定義をします)。
 また、ソフト開発は単純に増員すればその分だけ開発期間が短縮されるシロモノではなく、 規模の大きなシステムはお互いの連係を取るだけでもかなりの時間を浪費します。

 なかなか世の中に理解されにくい世界なのでこのような妄言が出てくるのだと思いますが、この件に限らず、 片山さつきはかなり迂闊な政治家だと言えます。わかりにくい故、「原爆発言」や「女性は生む機械」発言のように騒ぎにはなりませんが、 片山発言を受けてシステム開発現場に悪影響が出るなら、それ以上の失言と言うことになります。

 システム開発の現場では、無理なスケジュールで毎年何人も体調を壊したり、場合によっては死んでしまうものが出ています。

 

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