理想的なマニュアルとは?
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ソフトに限らず情報家電でも、マニュアルに目を通さない人が結構います。吉田が作っている「シンプルぱっと2」でも、
ヘルプを読めば分かることをわざわざ質問してくるケースが絶えません。
マニュアルというと分厚い冊子を想像させますが、PDFやHTMLヘルプ、オンラインヘルプなど多岐に渡っています。ここで、
今一度マニュアルについて考えてみたいと思います。
■何故、マニュアルが読まれないのか?
吉田も自作ソフト以外では、イチユーザーに過ぎません。物作りに携わっている人でも、 ユーザーの立場で接する方が圧倒的に多いと思います。ユーザーの視点でマニュアルというものを考えてみましょう。
- 分厚くて読む気がしない
- 読むのが面倒くさい
- とにかく早く使いたい
- マニュアルを読まなければ理解できないのは、設計が悪いからだ
- 使いながら、分からないところだけ読めばいいや
中にはマニュアルを1ページからきっちり読む人もいると思いますが、大半の人は読まずにいきなり使い始めます。 メーカーもそのことを察してか、クイックガイドや設置ガイドのように最低限読めば使えるように工夫するようになりました。
マニュアルが読まれない最大の理由は、「面倒だから」だと思われます。吉田もそうです。でも、
なぜ自分が欲しかった製品のマニュアルを読むのが面倒なのでしょうか?
自分が知りたいと思う項目以外もたくさん書かれているからに他なりません。
では、ここでメーカー側から見たマニュアルの位置づけについて考えてみたいと思います。
■メーカーにとってのマニュアル
ソフトウェアは別として、メーカーには製品に対する製造責任(PL)がつきまといます。マニュアルに書かれていないことを実行して、
製品が壊れたり事故を起こされると事です。また、マニュアルがない場合は、使い方や設定法について、
いちいちサポートに問い合わせが来るのも非効率的です。
そこでメーカーはモレのない入念なマニュアル作りを心がけます。
- 製品の使用上の注意をユーザーに伝える
- 製品の詳細な設定方法を掲載し、サポートコストを抑える
- サポートの祭にもマニュアルを読むように促せる(コスト軽減)
- 説明責任を形式上果たそうとする
メーカーのマニュアル作りに対するスタンスも、あまり前向きではありません。吉田も会社員時代に取扱説明書を何冊か作りましたが、
これは非常に面倒なものです。しかし、マニュアルに記載しておかないと、
自力で解決できるお客さんからも質問が舞い込んでくるようになります。
つまり、先々楽をするためにマニュアルを書くのです。
※とはいえ、マニュアルに記載してある事項を読まずに問い合わせてくるお客さんは必ずいましたが。
■これからのマニュアルの形態を考える
製品により制限事項があると思うので、ネット上で販売できる製品に限定してこれからのマニュアルの形態を考えたいと思います。
(1)クイックガイドを作る
プリンタなどに付属している設置ガイドのことです。取りあえず、これだけ読めば、
初期設定を行って最低限の利用が出来るものを指します。クイックガイドは図やイラストを上手く使い、
出来ればA3両面印刷で入る分量になることを心がけます。
ユーザーはとにかく目の前の製品をいじりたいので、最低限マニュアルが無くてもいじれるところまで導きます。経験上、
導入で躓くお客さんがほとんどです。
(2)クイックガイドは紙に印刷できるようにする
クイックガイドは紙の形態が望ましいです。そうでなければ印刷可能なPDFのような形態がいいと思われます。 手順通りセットアップすれば使えるようにするのが目的なので、検索機能などは必要ありません。HTMLヘルプにする必要はないと思います。
(3)詳細マニュアルはウェブに設置
より詳細なマニュアルはお客にとっても、メーカーにとってもハッピーになれるものが望ましいと思います。お客さんやユーザーは、
自分が知りたいことだけがすぐに探せればそれで満足します。余計な機能の説明はいらないのです。
順にめくっていく紙マニュアルにありがちな形式ですと、検索がどうしても弱くなります。
隅から隅まで読むことを要求する書籍とマニュアルは別物です。なので、検索を優先した形式が望ましいのです。
ウェブマニュアルの利点は、Googleなど優れた検索エンジンの力を借りたり、 各種コンテンツ管理システム(CMS)を利用できる点です。インデックスページなどを用意すれば一覧性にも優れ、 検索エンジンを利用すれば欲しい情報に簡単にアクセスできるようになります。
また、メーカー側の利点としては、ウェブサイトのコンテンツの充実を図ることが出来ます。平たく言えばSEO的に有利にしたり、 関連商品の紹介もすることが出来ます(例えば、消耗品やオプションのリンクを作るなど)。
サポートの見地からも有利です。ウェブ上の情報はリンクにより有機的につながるため、BBSやメール、
特定のユーザー向けにカスタマイズされた専用のページから自由にリンクできるのです。
ユーザーの立場から見ても、いちいちマニュアルを引っ張り出さなくても、クリックひとつで欲しい質問の答えにたどり着けるため、
面倒がありません。
ユーザーとメーカー、双方にとってハッピーになれる可能性があります。吉田もこのことをずっと前から考えており、最近、
シンプルぱっと2のマニュアルの一部を活用法として公開し始めました(作業は遅々としていますが)。
PDFやHTMLヘルプにも検索機能がありますが、ウェブの検索エンジンに比べると、どうも使い勝手がよくありません。
検索技術はさすがGoogleといった感じです。
後ろ向きなマニュアルよりも、みんなの役に立つマニュアル作りを試行すべきでしょうね。
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