A.ベイヤーに対する誤解

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 吉田は今でこそ色々な馬券術に手を出していますが、もともとはスピード指数派です。 西田式スピード指数を10年近く使ってきましたが、恥ずかしながら元祖と言われているA.ベイヤーの著書は読んだことがありませんでした。
 そこで、今では絶版になっている 「勝ち馬を探せ!!」という本をAmazonのマーケットプレイスで購入しました(定価1500円が2400円でした。 今は5800円になってます)。

 この本がスピード指数に触れているのはだいたい2章分です。 当時あったRacingForm紙(アメリカの競馬新聞)のスピード指数の欠点を改良する方法にはじまり、応用例まで書かれています。
 それ以外はサイン馬券や厩舎作戦(陰謀論?)など、彼が経験してきた馬券術について書かれています。

speedindex

 タイムに関する部分についてコメントすると、今から20年以上前に書かれた本とは思えないほど、多岐に渡る示唆を与えてくれました。 実際、今現在タイム理論に携わる人が試行錯誤の末到達した境地についても書かれています。もちろん、 馬券術として深く掘り下げたわけではなく、さらりと触れた程度ですが。

 彼はこの後の著書でトリップハンデキャップなどの馬券術に移行しますが、 スピード指数に関する情報はひとまずこの本だけでもかなり多くのことを学べます。

 日本のスピード指数の第1人者といえば西田和彦氏ですが、彼の考案した「西田式スピード指数」 はA.ベイヤーのスピード指数に対して非常に優れている点がひとつあります。それは、 誰にでも使いやすいようにA,B,C,D,X,Y,Zで評価したことです。
 ランク馬の導入により、スピード指数はきわめて扱いやすい予想法になりました。

 ちなみに勝ち馬を探せ!!のなかで書かれているスピード指数の使い方は、きわめて単純で、 計算されたスピード指数を競馬新聞の上に書き写すだけです。 予想する際にはそれぞれのレースでマークされた指数をひとつずつ検討していく必要があります。

 もちろん、西田式の場合も、ランクの裏側を見ようとすればレース毎の指数を吟味していく必要がありますが、 ひとまず抜けた馬をチェックするにはランクがついていた方が圧倒的にわかりやすいのも確かです。また、他の馬券術と組み合わせる際にも、 いちいち戦績を細かくチェックしなくて良いので楽です。

 今、日本ではスピード指数の欠点を克服すべく、様々な馬券術が考案されています。ある人は前半3Fと後半3Fのタイムを比較したり、 市丸氏が考案したタイムフィルターのように別の指数を考案したり……。
 これらは基本的にスローペース症候群問題に対する回答だと思います(スピード指数はスローペースのレースでは、 指数が極端に低くなってしまう)。

 しかし、今タイムが解決すべき課題はスローペースに対する対応なのでしょうか? 吉田は違う問題があるように感じています。 A.ベイヤーは「異なるコースで出されたタイムを比較する」という問題に対する答えとして、スピード指数を考案しました。
 西田氏は基本的にはA.ベイヤーと同じ問題に取り組んでいると思います。

 スピード指数の欠点を直すと称して考案された指数は「スローペース問題」の解決に取り組んでいます。しかし、吉田は

  • 次回も同様のパフォーマンスが出せるのか?
  • 突然タイムを落としてきた馬の原因は?
  • 2,3歳馬の成長に対するアプローチは?
  • 着順が悪くて指数が高い馬に対するアプローチは?

と、さまざまな疑問点があります。特に大きな課題は、昔から取り組んできた「次回も同様のパフォーマンスが出せるのか?」 という問題です。これはレースVTRを丹念に見たり、展開に答えを求めたり様々なことを試してきました。 数値のみでこの問題に対応が出来れば、新たな指数が出来ると思います。 これに比べればスローペースの問題はさほど重要ではないように感じています。

 日々、研究していますがまだまだ先は遠そうです。吉田の場合はこれらの成果は書籍ではなく、 ソフトウェアの形で発表すると思いますが、答えが見えるかどうかは正直分かりません。
 検証を重ねれば重ねるほど、先人の偉大さを実感しています。

 いずれにせよ、タイム理論の信奉者で、 馬券術の改良に興味がある人は一度A.ベイヤーの著書に目を通しておいた方がいいと感じています。 西田氏のフィルターを通したあとでしかスピード指数に触れていない人が多いと思うからです。とはいえ、 この絶版本を入手しろとは言えませんので、比較的入手しやすい著書からはじめて見るのがいいと思います。

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