ランキング主義が滅亡を招く!?
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先日、NHKの「クローズアップ現代」でめずらしくまともな番組をやっていました。 出版業界がランキングによりかなりやばい状況に張るという内容です。番組の内容は、 本が増えすぎてランキングに載ってる本しか売れないというものです。この結果、出版社や書店の経営を圧迫し、 倒産する会社や書店が増えているとか。
似たような状況にあるのがゲーム業界ではないかと思います。
この業界はとにかく有名タイトルの続編ばかりが売れている状況が長く続いていました。
任天堂がDSやWiiでまったく違った層にアピールしたことにより、市場動向は変わってきましたが。
有名タイトル=ブランドとするなら、本質的にランキングに掲載された書籍のみを購入するのと変わりないでしょう。
■なぜ人はランキングを気にするのか?
なぜ、人はランキングや評判に頼るのか? 書籍で考えるならラインナップが多すぎて、 どの本を読めばいいかが分からないためでしょう。何より、クソゲーならぬクソ本を掴まされてむなしい思いをするより、 売れている本(=おもしろい本)なら変な本は混ざってないだろうという安心を買おうとしているためだと思います。
吉田の場合は一般書をほとんど読まず、ほとんどが専門書とビジネス本なので本屋のランキングに頼ることはありません。 でも平積みされている本を眺め、気になるタイトルを中心に買っていることから、本屋のお薦めの本を手にしています。つまり、 これも売れ筋を買っていると言えるでしょう。
別のジャンルの製品に目を向けてみましょう。例えば、家電を購入するとき。最近ではあまり、
パソコンになれてない人でも価格ドットコムなどの価格情報サイトを見るようになってます。上手く使えば、
地元で買うよりずっと安い価格で購入できるので当然ですが。
このとき、自分が詳しい知識を持っているカテゴリーであればあまり参考にはしませんが、滅多に買い換えない液晶TVや白物家電の場合は、
ついつい人気ランキングを見てしまいます。
ランキングなんて気にしないよという人でも、2ちゃんねるなどで情報を集めることもあるのでは? これも人の評価を気にしていると言うことです。
つまり、何かを選ぶ際には誰かの評価を参考にすることが少なからずあると言うことです。これは現代の製品カテゴリーや品種が、 非常に多様なので仕方がないことでしょう。バブルの頃なら、大企業が大量生産した製品(少品種大量生産)が出回ってましたが、 今は特定の顧客をねらい打ちにしたマーケティング(多品種少量生産)が幅を利かせていますから。
■ランキング主義が滅亡を招く
ここでタイトルの「ランキング主義が滅亡を招く!?」と言うことを考えてみたいと思います。 判断の拠り所になるランキングが何故いけないことなのでしょうか? 簡単に吉田の意見をまとめてみたいと思います。
- 売れている=最良ではない(万人向け。あなたの琴線に触れるものではない)
- ユーザーに目利きが備わらない(誰かに評価してもらわないと判断できなくなる)
- 声の大きい製品が幅を利かせる(ちょっとした話題作りで流れを作ってる可能性がある)
- 体力のない良心的なメーカー、作者が淘汰される可能性が高い
- 見かけ上多品種少量生産だが、 実体はごく一部しか売れない少品種大量生産と同じ(激しすぎる生存競争につながっている)
- ランキング偏重主義が過ぎると、メーカーも2番煎じや安直な製品を出し続けるというスパイラルに陥る可能性が高い。
ユーザー、顧客の側にしてみると、ランキングのように不確実なものに振り回され、ものを見る目を養えなくなります。つまり、
これは常に他人の判断に従うという状態です。しかも、実情は少品種大量生産の時代と変わらない状況に陥っています。
メーカーの側にしてみると、どれだけ良いものを作っても正当な評価が受けられず、結果力尽きてしまうこと可能性が高くなります。今の時代、
マーケティングの要素が加わらないと決して評価されません。
今の状況はメーカーにしても、ユーザーにしてもハッピーとは言えない状況にあると思います。確かに、 資本主義社会において競争の原理は必要ですが、21世紀になり「Win-Win」の関係が叫ばれるようになり、 過度な競争よりも共存が唱えられています。もっとも、これはあまり実現されている現場を見たことがありませんが(笑)。
書籍はアイテム数が多いため、滅亡の兆しが見え隠れしています。次に危ないのが音楽業界でしょう。その次はゲーム業界ですが、 こちらは任天堂が独り気を吐いてますね。音楽業界は売り上げ減の原因をすべてP2Pソフトに求めていましたから、 早晩に出版業界と同じ状況に陥るでしょう。
他品種時代の現代はランキングがないとアイテムが選べませんが、ランキング偏重だと、
そもそもろくな商品が生まれなくなる可能性があります。ここにジレンマがあります。
これを防ぐには我々消費者が、もっとものを見る目を養う必要があるでしょう。
その上でクソみたいな商品を出し続けるメーカーは排除されていく必要があります。
追記:人は選択肢が多すぎると、判断できなくなるというのは重要な性質です。製品開発の世界で「シンプル」がもてはやされているのもそのためです。書籍はとにかくアイテム数が多すぎます
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