競馬における能力値

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 最近、いろいろ競馬関連の書籍を読んでます。特にタイム関連の書籍に目を通すようにしてますが、A.ベイヤーの「勝ち馬を探せ!」 (絶版)に続き、市丸博司著の「タイムフィルター」(KKベストセラーズ・絶版)を読み終わりました。今はHRPTV5C著の「速度理論・ 数量化理論」(九天社)を読んでいます。
 なお、HRPTV5C氏の著書は倒産した九天社発行の書籍なので、今市場にある分がはけたら自動的に絶版になりますので、 欲しい方はお早めに。

■タイム理論系の書籍

 市丸氏のタイムフィルターは、A.ベイヤーのスピード指数を全面的に否定し、独自の理論を打ち立てています。 式や内容を見る限りでは、基本線は従来のスピード指数と変わらないようです。距離によるタイム差を廃したと書かれているように、 式の中にも距離補正がない点が非常に気になりますが、タイムフィルターONLINEや書籍中で紹介しているレースの指数と、 吉田のスピード指数によって浮かび上がってくる馬を見るに、大きく外れてはないようです。

 手動でやっているので厳密な差は求められませんが、数レースを検証したところ、基本線でスピード指数と同じ特性を示しています。 残念ながら回収率を見つけることが出来ませんので、どの程度の成果を上げられているかをチェックできないのが残念です。

 市丸氏の理論で従来と異なるのは、馬のペースをパターン化したところにあるでしょう。ただ、 そのパターンをどう馬券に活かすかが書籍の中で触れられていないため、パターンのねらい目まで言及した棟広良隆氏の「激走レンジ」 に比べると残念な内容です。

 HRPTV5C氏の書籍は、指数ではなく速度で評価するのが特徴的なところです。彼の理論は速度にさまざまなファクターを加味し、 多変量解析をしている点が特徴で、思想的にも従来の時計理論とは一線を画しています。まだ読了してませんので、詳細なコメントは控えますが。

 タイムフィルターも、速度理論もひとつの共通したテーマを扱っています。それが馬の能力を数値化するということです。 より正確な能力値を求めれば競馬は勝てるというのが根底にあるテーマですが、吉田はこの部分に大いに疑問があります。

■馬の能力を完全に数値化することはできるのか?

 はてして馬の能力を完全に数値化することは出来るのでしょうか?

 吉田は出来ないと思ってます。理由は単純で現在我々一般人が触れられるデータは、明らかに足りないからです。 市丸氏は不足するデータをKOLに求めましたが、これでも不十分です。競馬は徒競走でありながら、走るコースは自由に決めることが出来、 馬によっては経済コースを走った馬に比べると余計に走っている馬がいます。常に外外を回ってきて、4コーナーでも大外を分回した馬は、 最内で走っていた馬に比べると1Fは余計に走っているかもしれません。陸上のトラック競技ではこういう不公平は許されません。

 しかし、競馬は許されています。つまり、 そういう不公平や歪みを許容するゲームだと言うことです。

 吉田が不足していると感じているデータは、

  • 全馬の位置情報
  • 全馬のラップタイム
  • ゴール前と後の乳酸値(疲労度)
  • 心拍数

などです。競馬三昧の前身であるClub Yanniesでは、開催情報と一緒に注目馬を挙げていました。注目馬は、 走り方から余力を判断し、次走タイムを縮められそうな馬を目で見てチェックして決定してました。数字に現れない以上、 アナログ的に見るより他はなかったのです。

 完全な能力値の話に戻りますが、例え吉田が欲するデータが手に入ったとしても、現状のタイム理論より精度が向上するだけで、 外れるレースはとことんはずれ続けると思います。なぜか?

 競馬には人の意志が介在しているからです。そもそも中央競馬に10もの競馬場が存在し、右回り左回り、コース幅員、仮柵、芝、 ダートなど多様な要素が存在しているのは何故でしょう? ハンデ戦や障害レースが存在する理由は? 答えは簡単です。 ゲームとしてのおもしろさを演出するためです

 JRAは明らかに演出しています。陰謀論まで行かないまでも、馬場の造形や芝の張り替えなどのメンテナンス、 出走条件の設定や番組日程によるローテーションなど。これは各課が勝手にやっているのではなく、トップダウンで指示が出されているはずです。
 タイム理論信奉者もJRAの意図をトラック指数や馬場指数で目の当たりにしたことでしょう。

 また、レースにおいては、調教師や騎手の意志も介在してきます。余談ですが吉田が展開を予想から外した理由は、 騎手が意図しない乗り方をするためです。武豊騎手は俗に言う「ため殺し」なんて荒技を披露してくれますし、 レースを見ていてもに追うフリをして扶助を与えていない騎手もたまに見かけます。

 つまり、いくら能力値を正確に出そうとしても、それ以外の要素がその通りに決まることを阻害するのです。

■能力値を出すことは無駄なのか?

 吉田は、タイム理論の他に、異常オッズ、サインなどにも手を出しています。今までもいろいろな馬券術に触れてきた経験から言うなら、 タイム理論の精度を上げるための努力は決して無駄ではないと言うことです。

 これまでの流れと矛盾するようですが、タイムは他の理論との相性がすこぶる良いのです。ほとんどの理論と喧嘩することはありません。 ただ、これを絶対視するような向きには反対という立場なのです。

 A.ベイヤー、市丸氏、HRPTV5C氏が目指したものは能力値です。 A.ベイヤーは自著の中ではっきりとその欠点と使い方にも触れているので、絶対視はしてないようですが。

 吉田が思うにタイムとは、能力値というよりひとつの事実だと思っています。つまり着順と同じです。 ある馬があるレースで出した着順とタイムはずっと記録に残ります。それをわかりやすく翻訳しているのがタイム系の指数なのです。

 今、吉田自身もタイム理論を見直してますが、これらのことを常に肝に銘じています。

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