スピード指数の先にあるもの

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 今日は休業日です。本棚の片付けなど用事を済ませた後は、 ずっと新しいタイム理論の事に考えを巡らせていました(休日なら遊びにでも行けばという突っ込みはなしの方向でお願いします)。
 ここの所、競馬関連の書籍を読みあさり、いわゆるタイム系についての論点については整理しました。 タイム理論にはいろいろ流派がありますが、結果的にはA.ベイヤーを端にした西田式スピード指数の考え方しかありません(指数にしてなくても、基準タイムや馬場差の考えが盛り込まれているものは、同じとみなしています。

■世の中のタイム理論はスピード指数に集約される

 言い切ってしまうのは、随所に工夫は見られるものの本質的なタイムへのアプローチが共通しているからです。 要点を以下にまとめてみます。

  • 走破タイムと基準タイムを比較
  • 基準タイムはコース、距離を考慮したひとつのモノサシとなるタイム
  • 馬場差(トラック変数)を採用している
  • 過去のタイムにより、レースを評価しようとしている
  • 仮定として、走破タイムが速い馬を能力が高いとみなしている

 これらを満たしていれば、すべて同じコンセプトで作られていると見ていいでしょう。ちなみにスローペース云々が出てくるロジックは、 基本的にA.ベイヤーではなく西田式スピード指数へのアンチテーゼといえます。A.ベイヤーは著書「勝ち馬を探せ!」の中で、 スピード指数はあくまでも道具であり、指数に振り回されてはいけないと言ってます。
 西田式の場合は、誰でも使いやすくランクを規定したため数値だけが先行しています。だから、 ペースにより指数が低くなると大騒ぎするのです。

 なお、タイム系と混同されがちですが、HRPTV5C氏考案の速度理論・ 数量化理論はまったく別物です(最近まで同じだと思ってましたが)。これは競走馬の走破タイムや基準タイムを使わず、 幻の標準馬を基準に馬齢、賞金などから分速を求めています。つまり、 タイム系理論では計算できない新馬戦のレースが予想できるのです。走破タイムが存在しないレースの指数が出るのですから、 この時点で別物といえます。


■スピード指数の完成度はやはり高い

 スピード指数に対する改良はさまざまな手法を持って行われているようで、多変量解析を持ち出したり、 さまざまな補正をかけたりしています。また、よく行われている分析の例として、前半3F、中間、上がりの3つをキーにパターン化している理論もあります。

 スピード指数の改良のアプローチは様々ですが、 どれもスピード指数の精度を高めることにだけ心血が注がれているような気がしてなりません。多少の差が出ても、 基本的に使ってるデータが同じであれば、同じような傾向になります。

 そもそもスピード指数が定義されている式は、非常に良くできています。

 (基準タイム−走破タイム)×距離補正+馬場指数 

 スローペース症候群が叫ばれ、西田式スピード指数は時代遅れだと言われつつも、 2008年の春はスピード指数ランク馬がバカバカ走って万馬券を量産してますし、2005年〜2007年のAX馬の成績を見ても、 勝率28.6%、単回収率92%をマークしています。
 単勝は最終的に75%に収束しますから、通年で100%を超えてなくても十分な成績といえます。ちなみに月単位でみると、100% を超えてる月が結構あります(ちなみに、2008年6月末までのAX馬の単回収率は100%でした)。

 西田式の問題点は、馬場補正計算がアナログ的なくせに、式に対する影響度が大きいことです。 これは今検討している最中です。


■勝つための競馬戦術と戦略

 スピード指数の精度を高める試みが数多く行われているのは、「走破タイムが優秀」=能力が高いと仮定しているためです。しかし、 ここで見ているのは過去のレースの結果であり、本当の意味の能力ではありません。例えば、 テイエムオペラオーはあまり指数は高くなかったですが、 鞍上の和田騎手がポカをやっても勝つ競馬をしてくれる頭の良さが強みだと冗談交じりに語られていました(笑)。
 何よりも競馬は能力だけではなく、騎手の戦略、厩舎の思惑、JRAの思惑などさまざまな要素が絡んできます。 なのに精度の高い指数を出すことだけに心血をそそいで終りで良いのでしょうか?

 タイム理論による予想のステップは大きく分けて2ステップあります。

(1)過去のレースを正確に評価すること
(2)指数をもとに予想を組み立てること

 (1)は多くの人が着目していますが、(2)はまったくと言っていいほど進化してません。 西田さんはある意味斬新でした。前走の指数の高い順にA、B、C、D、過去2-4走の指数の高い順にX、Y、Zと評価する方法を考案しました。しかし、 どの馬から入るべきかはあまり明快ではありません(ある時はAから、ある時はXから)。

 その他のスピード指数系理論では、主に高い指数をマークした馬(指数順位)から買うことになっています。 本当にこれが正しいのでしょうか?

 ちょっと話がそれますが、そもそも何故高い指数をマークした馬から買うのでしょうか?  これはスピード指数に限らず、オッズ理論でもあります。異常オッズの世界では、よりたくさん買われている馬=異常投票馬を狙い打ちます。
 つまり、「指数の高い順に買う」と言う行動は、 多くの人にとってもっとも理解しやすいものであると考えられます。これが基本的な戦術です。基本戦術の存在は、予想をシンプルに保つ上でも、非常に重要なルールであると吉田は考えています。

 タイム理論があくまでも走破タイムを元にレースを評価した数値であることから、 それを予想につなげるにはステップ(2)を強化する必要があると考えます。今考えているルールは

  1. 前走もしくは、今回の条件にもっとも適した過去の指数を基準値として採用
  2. 基準値に対して、今回条件にあわせた加工をする(斤量、騎手など)

というものです。つまり、単純に最高指数を狙うのではなく、今回は低い指数が出るかもと考えるわけです。例えば、 前走まで安藤騎手や武豊騎手だった馬が乗り代わりで武幸四郎騎手になった場合は、前走通りの指数が出るとは限りません。逆に、 条件がマッチしていれば、前走よりも高い指数を出す可能性も否定できません。

 こういう要素を加味して、単にレースの結果を評価しただけの指数から、今回のレースに適合した指数に修正するのです。 一見乱暴なように見えますが、基本戦術を活かすには「高い指数=今回狙うべき馬」にする必要があります。
 こういう作業は、レース1走ごとの指数精度を高めても、大局的に見ればあまり変わらないと考えるためです。 

#とはいえ、元の式にある程度手は加えると思いますけど(笑)。

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