ソフトウェアの要望と仕様

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 ソフト製品に限りませんが、仕様の策定というのが実は一番骨が折れる部分でもあります。仕様が決まってしまえば、 後はごりごりとコードを書くだけなので、ある意味力仕事でも出来ます。
 仕様の元になるのが、ユーザーや顧客からの要望です。

 委託開発の携帯で行われるシステムのように、最終的な仕様はクライアントが承認する形ならば、気が楽な部分があります。と言うのも、 クライアントの要望をくまなく聞き取り、これを要件定義書、仕様書の形に落とし込めば済むからです。

 それに対して、シンプルぱっとやシンドロームのように、不特定多数を相手にする自社開発(?)ソフトの仕様決定は大変です。 まったく一から作るのであれば、比較材料はすでに世の中にある製品群になるため、 マーケティングで言うところのポジショニングを行えば製品仕様は決定します。

 それに対してバージョンアップ製品の場合、すでに既存のユーザーがいるため仕様決定はより困難になります。既存のユーザーは、 現行のバージョンを元に様々な要求を出してきます。ソフトを作る側は、これらの要望を整理し、その方向性や仕様を決定します。また、 サポートの事例なども参考にします。

 シンプルぱっと2を例に取りますが、シンプルぱっと1と2の大きな違いは、自動運転に対するアプローチの違いです。 どちらも固定タイムイベントと流動タイムイベントに基づき実行されますが、自動運転中は何も操作ができないシンプルぱっと1に対して、 シンプルぱっと2はその適用範囲を広げたため、自動運転中も自由に操作できます。

 これはオッズの自動更新や締め切りアナウンスと言った機能も、自動運転機能に統合した結果このような仕様になっています。 これがどうなったかと言えば、自動運転の設定が難しいという質問を未だに受ける結果になりました。概念は非常にシンプルなのですが。

 最近、吉田が開発と運営に携わっているシンドロームでも新バージョンを出しました。新バージョンに対する反応は賛否両論で、 「シンドローム2がないと競馬が出来ない」という人もいれば、「前のバージョンでないと嫌だという人もいます」。シンドローム1と2では、 コンセプトそのものが違います。1が多彩なオッズ分析ソフトだったのに対して、2は勝つためのソフトになっています。 このスタンスの違いがこのような反応になっているのでしょう(それぞれの人の競馬スタンスにも関わっていますが)。

 ソフトウェアの後継バージョンは、ユーザーの要望に基づいて仕様が決定されます。しかし、要望を取り入れていくだけでは、 ソフトの形にまとまりません。なぜならユーザーの立場によってまったく異なる要望が出されることもあるし、全体を捕らえての発言でないため、 要望自体が的を得ていないこともあるためです。これらを統括して仕様を決めるのが、ソフト作者の役目です。ただ、 何度やってもうまくかみ合わないものです(余談ですが、会社員時代にも完成した製品のソフトウェアの更新を、 1年近くにわたってやり続けたことがあります)。

 ちなみに、Windows Vistaのような後継バージョンはちょっといただけません。あれはユーザーの要望よりも、 別の思惑で作られたソフトでしょうね。で、なければUACが連発して操作性を低下させたり、 XPで動いていたソフトがすんなり動作しなかったりと言うことはないはずです。

 ソフト仕様の決定は難しいね。というお話でした。

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